「ねぇ、コレ、誰にもらったんだい。君が買ったの?自分で?」
 
ぴろっとすけすけのベビードールを摘んで笑ったら、彼はちょっとだけ恥ずかしそうに
膝を合わせて、ちょっとだけ顔を赤くした。
「フ、フランシスに・・・お、お前が喜ぶって言われて、その」
「・・・・・・・・へぇ」
 
・・・あのセクハラなお髭さん。
ひらひらしたミニ丈のベビードレスの色は白。ちなみにぱんつはひもぱん。
これ、俺が喜ぶっていうよりも、君が、そしてアーサーが喜んでるんじゃないのかい。
アーサーがコレを着てる所を想像してにやついてるフランシスが目に浮かぶ。
ついでにそれを着て俺に突っ込まれてあんあん言ってるアーサーまで想像してるんじゃないだろうか。
そうはいくか、その手にのるか。
思惑を感じ取って、思わずむかっとした俺は、なるべく優しく、低い声で「脱いで」と言った。
 
「え・・・っ、あの、じ、自分で」
「・・・・・・・・・・・・・」
 
じわっと、緑色の瞳に涙が浮く。
・・・別に、そんな意味で、鬼畜プレイをする為に言ったんじゃないぞ、アーサー。
かかーっと茹だった全身はピンク色に染まって、そわそわとくっつけてる足がもじもじする。
ちら、と上目遣いで見てくる瞳は、潤んだ緑。
ちょっと・・・何、「脱いで」の一言で感じてるんだよ?この人。時々本当についていけない。
もじ、と膝立ちになって、アーサーはベビードールの裾を持つ。
ひらひらふりふりのシフォンのレースは、少しの動きで空気を含んではためいて、
持ち上げたレースの間からは、彼の日に焼けてない、薄い脇腹が見える。
 
痩せっぽちで、薄い、白い、脇腹。
浮いた腰骨の辺りには、派手に散ったキスマーク。この間、俺のつけた跡だ。
・・・そうやって、見せ付けるように丈の短い裾を口に咥えて、上目遣いの潤んだ瞳で
こちらを見つめてくるのは、演技なのかい。
ついでに、軽く震える指でひもぱんの紐を解くのも、お得意のポルノ女優の真似?
目の前の、愛しい人の軽いストリップに、無意識にごくっと喉が鳴る。
レースで出来た紐は硬結びになってしまってるみたいで、少しだけ彼は頑張ってた。
ん、くそ、あれ?口に咥えたベビードールはそのままに、色気も何もない、くぐもった声を上げて。
咥えているレースに、じわりと滲む唾液。跳ねる心臓に、俺は自分に言い聞かせる。
 
俺は、萌えてない。萌えてない。エロティックな下着をつけた女装趣味の男なんかに、萌えてはいない!
 
ぶつぶつと声に出して言い聞かせながら、ひもぱんと格闘してる彼を見ていたら、
まどろっこしいと思ったのか、彼はひもぱんの端に親指を引っ掛けて、
そのままずるっと引き下ろそうとした。
ここで、心の中のアルフレッドが言った言葉。
 
「せっかくのひもぱんなのに、どうして普通のパンティみたいに下ろすんだよ!!」
 
思考は声となって発せられていたらしく、アーサーはひもぱんに手を掛けたまま、
中途半端に中腰の状態で、きょとっと俺の方を見ていた。
てれっと銀色の唾液の糸を引いて、咥えていたベビードールがはらりと落ちる。
・・・・・・・・・・・・・ジーザス。俺とした事が。
君と一緒にいたおかげで、すっかりと変態の仲間入りだ。ガッデム。
 
「下ろさなくていいよ、アーサー。訂正する。やっぱり着たままでいて」
「え、でも、あの」
「着たままでも出来るだろ?ハニー、ねぇ、一人でしてみせてよ。俺に見せて」
「え」
 
近寄って、額と目に何度かちゅっちゅとキスを落として、薄い腹筋を撫で上げる。
手が冷たかったのか、少しだけ「ひゃ」と身を捩った恋人、愛しい愛しい、同性相手。
彼は少しだけ固まった後に、困ったように眉を寄せて見上げてきた。
童顔で、幼い、少しそばかす跡のある、男の顔。
物心ついた頃からずーっと彼の顔だけを見ていた俺は、表情一つでどんな気持ちなのかなんてすぐにわかる。
困ってるんじゃない。期待してるんだ、この顔は。この、どうしようもないくらいアブノーマルなマゾ志望は。
無言でぶわーと顔を赤くする恋人に、俺はもう一度「オナニーしてよ」と耳元で囁いた。
 
 
 
 
「ぅん、あ、んー・・・」
「見えないよ、もう少し足広げて」
「んっ・・・」
 
ヘッドレストに背を凭れさせて、恋人は足を大きく広げて自慰をする。
切なげに寄せられた眉毛、小さく戦慄く唇、そこから発せられる、泣き声みたいな嬌声。
緑色の瞳は半開きで、とろっと溶けたまま何処か遠くを見ている。
ちょっと、折角一人じゃないんだから、俺を見なよ。アーサー。
顎を掴んで瞳を向けさせて、目を合わせてから、キスをして。
角度を変えて深めに唇を合わせたら、すぐに熱い舌は絡んできた。
ちゅく、ちゅく、音が鳴る。水音。これは、どっちの音だろう。上?下?ねぇ、アーサー。
キスをしながら目を開けて、ちらりと彼の下半身を見る。リズミカルに動く手、目の前の瞼は軽く痙攣してる。
ベビードールの合わせを肌蹴させて、薄い胸板に手を這わせたら、彼はびく、と体を跳ねさせて息を乱した。
 
「すけべ。こんな物着て、俺の前で自分で弄って」
「っや、アル」
「何を想像して普段やってるの?俺?俺に突っ込まれて泣いてる自分?」
「っあ、ん、・・・んー・・・っ、」
 
ぐい、耳元でやらしい言葉で追い上げてあげて、片手で膝を割って足を広げさせる。
言葉攻めなんて趣味じゃないけど、この人が喜ぶから。プレイの一環として、楽しんでやろうじゃないか。
べろを赤く染まる小さな耳に突っ込んでかき回したら、アーサーは上ずった声を上げて背筋をぶるぶるさせた。
アル、小さく名前を呼んで、身体の力がくにゃっと抜ける。
開いた足の間には、片方だけ紐のといた、レースのひもぱん。
意味を成さない下着は、視界を倒錯的なものに仕立て上げるだけ。
髪と同じ、少し色のついた金色の毛がしっとりと濡れているのは、我慢できずに漏らしたものだろうか。
ちょっと、君ねぇ。女の子じゃないんだから。
べたべたになってる性器を、彼の手の上から握って一緒に軽く扱いてやる。
自分の気持ちいいリズムを崩されたアーサーは、ふゃ、と子供みたいな声を出して
潤んだ瞳で俺を見る。ぐちゅ、大きくなる水音。もう一度キスしてやったら、ふっ、ふ、と煩い鼻からの呼吸が顔をくすぐった。
「んんん、」声が高い。まさか彼がこんな声出すなんて、昔は信じられなかったなぁ。かわいい。
 
「どう、イけそう?前だけでイける?」
「はぁ、はっ、はっ、あ、さ、触って・・・っ」
「どこ?教えてよ。ちゃんと言葉で答えてよ」
「っ、へ、へんたい」
「君にだけは言われたくないんだけど」
 
お留守になってる左手を前から後孔に持っていって、中指を添えさせる。
ふ、と熱い息の上がる上唇を舐めて、自分の指と一緒に狭い穴の中にぬぅっと入れる。
慣らしてない状態でも二本一気に受け入れる慣れた性器に、
思わずすっごい、と笑いが出た。
 
「やらっしい。女の子じゃないんだから、こんなにすぐに飲み込まないでよ」
「ぅあ、あ、あッ、か、かき回すな!」
「じゃぁ自分で動かしてよ。ほら、見せて」
「・・・ッ、ひッ、・・・・っ」
 
ひっ、う、ずるっと指を引き抜くと、彼は背筋をぴん、と張らせながら、ぐずぐずになってる後ろの手の動きを早める。
緑の目元に浮かんでるのは生理的な涙、はぁはぁ喘ぐ声が、非常に官能的。
少しだけ首を傾けて右肩に乗せて、とろっとした瞳で、足を開いて。
着ている純白のベビードールの裾は先走りの液でぐちゃぐちゃだ。
・・・・・・ちょっと、俺ってば本当にそんな趣味は無いはずなんだけど。
だいぶ君に染まってきた?ねぇ、アーサー。結構興奮してるんだけど。
ぴん、とドレスを押し上げてる薄い乳首を、レースの上から軽く食む。
糸切り歯でかり、と甘噛みしたら、アーサーはヒッと悲鳴を上げて身体を震わせた。
 
「・・・っひ、ん、あぅ、あ、アルぅ」
「・・・かっわいー、アーサー。ほら、女の子みたいに揉んであげる」
「やぁ、あっ、あッ」
 
少しあばらの見えそうなくらい細い身体は、女の子みたいな柔らかいバストはあるわけなくて。
それでもドレスの上から手を広げてむにむにと揉んでやれば、彼は嬉しそうに身を捩る。
アル、アル。ぅ、あ、。
左側の胸の飾りは指できゅぅきゅぅに捻り上げて、べたべたにドレスの上から舐め上げて。
はふ、と息を漏らして上を見上げたら、真っ赤な顔してはぁはぁ喘いでる緑色と目が合って、
やば、と思って俺も窮屈になってるデニムのボタンを外して、自分の物も取り出した。
ああ、俺っていつからこんなに変態になったんだろう。
腹筋にひっつくくらい反り返る自分の物に手を添えて、同じように擦り上げる。
先端をべたべたに濡れてるアーサーのにくっつけて、片手で二つ握りこんで、扱きあげる。
男同士でしか出来ない変態的なプレイに、アーサーはいやだって言いながら、二つ一緒に
握りこまれる性器を凝視する。
ぐ、ぐちゅ、ぐちゅ、大きくなる水音。これって絶対君の所為なんだけど。
気持ちいい?と耳に舌を突っ込んで舐め上げれば、彼はひゃ、と高い声を上げて身体を跳ねさす。
耳、弱いんだ。何処までも王道、エロ大使。
ふ、ふ、と上がってくる自分の息も自覚しながらキスをしたら、アーサーの鳴き声が口の中でくぐもった。
つま先が丸まる、嬌声が泣き声みたいに高くなる。
ああ、イきそうなのかな。イきたいのかな。
 
後ろに突っ込まれてる彼の指は、三本。中ではきっとやらしく動いてるに違いない。
浅い部分にある前立腺を擦って、根本まで埋めてる指で入り口を広げて。
アル、呼ぶ名前は無意識か。この人、自分でしてる時ってこんなにいつも派手にやるのかな。
 
「いけそう?アーサー」
「あ、あ、アル、いく、イきたい、オレ、オレ・・・ッ」
「いいよ。お願いしてよ」
「っの、のんで、アル、飲んで、」
「オーケイ、ダーリン。変態。愛してるよ」
 
ちゅっと音を立ててキスを落として、彼の濡れてる性器に口をつける。
舌を伸ばしてゆっくりと口に含んだら、アーサーは一際高く泣いて、腰を押し付けてきた。
んぐ、ちょっと。
少し非難めいた目で見上げて、舌を使って追いやげてやったら、べちょべちょになった
右手は俺の頬を触って、アル、と名前を呼びながら吐精した。
 
「ッア、アル、アル、アル、ん、あ、アルぅ・・・!」
 
 
ぐっと頭が押さえられて、びく、と腹筋が締まるの同時に生ぬるい感触が口の中ではぜる。
びゅく、っと喉に叩きつけられる青臭い液体に眉をしかめる。何度かやってあげるけど、やっぱりこの瞬間てのは、好きじゃない。
咥えながら根性でごくんと喉を鳴らして飲み込んで、まだびくびくと振動に合わせて漏れ出してくる精液を
きゅぅっと吸い上げる。
先端の敏感な尿道部分に舌を尖らせて突っ込んだら、開きっぱなしの内腿がびくっと大げさに震えた。
ぷは、口を離して、彼の精液をつけたままの唇を手の甲で拭って、アーサー、くにゃぁっと力の抜けた体に呼びかける。
後ろに突っ込んだままの指はそのままに、軽く震える顎を掴んで上向かせたら、金色にしぱたく濡れた睫毛がきらきら光って見えた。
 
「気持ちよかった?ダーリン、ほら、君も味わって」
「・・・ん、ん、・・・んん゛んーーー!」
 
口の中に残ってる青臭い液体を、唾液に絡めて口移しで流し込む。
じたばたと暴れたが、すぐに大人しくなって、そのまま泣きながらこくこくと喉を上下させる彼の、愛しい事。
後ろに入ったままの指を抜かずに、自分のともう一本合わせてぐぅっと突っ込んだら、
アーサーの細い身体はばね仕掛けの人形みたいに大きく跳ねた。
 
「もう一回、見せて。出来るだろ?俺はまだイけてないから、おかずになって」
「っえ、や、やだ!ッあ!」
「ほらほら、好きだろ、ここ。次は四つん這いになって、後ろから入れてみてよ。あ。オモチャ使う?」
「ひぁ、あ、やだ、やだぁ、アルッ」
「やだって言ってる割には指が動いてるんだけど、エロエロアーサー」
 
やだやだ言う彼の否定の言葉はイコール、「もっとして」。男の狩猟本能を煽る一種のプレイ。
欲を言えばたまにはもう少し、抵抗ってのもして欲しいんだけど。
素直に足を広げてもらうのも従順でキュートだけど、男としてはイヤがる君を無理やりに、っていう
シチュエイションもちょっと気になるんだよね。
そう耳元で言いながら、ぐちゅぐちゅ弄ってる彼のやらしー指を抜いて、尻をぐっと開いて、無理やり一気に突っ込んだ。
 
ひぁ、あぁ、やだぁぁあ!
高く高く、上がる悲鳴。こういうとき「嘘つき、すきなくせに」って言うのはお約束?言葉責めの王道ってどんなだろう、
いやらしい事言わせるとか、ああ、俺が言わなきゃならないのか。思いつかないぞ、全く。気持ちよくて。あー、やっばい。
ちょっと、もう、すごい。持ってかれそう。
最奥まで突っ込んだ後に、一旦ずるりと引き抜いて、その後ローションが泡立つくらいに、ハイスピードで突き上げた。
 
 
「ひぁ、あ、あ、!あぅっ、あ、あ、あぁぁ!壊れる、壊れ・・ッ!」
「好きでしょ、アーサー、ッ、あー、ねぇ、もっとやらしい事言って」
「ひっ、は、っあ、ル、アル、アル、大っきい、アルの、好き、すきぃ・・・ッ!」
「は・・っ・・・さい、こー、君の中、ねぇ、愛してるぞ、アーサー」
「んっぅ、あっ、あっ、あ・・・あぁぁ、あぁああっ!」
 
 
くたくたに疲れきった身体も、大好きな人が強請るならば、酷使して見せよう。愛の力で。
タガが外れたように泣き喚く声のでっかい恋人に、ちょっとここまで自分のテンションを上げるのは大変だけど、
俺が少し頑張るだけでお互いがハッピーになれるのならば、どんと来いだ。実際、俺で乱れてる彼を見るのは、大好きだ。
恋人とのセックスはいつも全力。新記録はいつも更新、じゃないとこの人はすぐに拗ねる。
ぐっちゃぐちゃになったベビードールをめくり上げて薄くあばらの浮いた薄っぺらな胸にキスを落としながら、
今日は一体何ラウンドまで付き合わされるんだろうと、もう一人のアルフレッドが心の中で呟いた。
 
 
 
 
まさか、あのあと抜かずの6発を挑まれるとは。
彼が気を失った後、追いかけるように意識を失った俺が、しばらく見てない友人に「痩せましたね」と言われた事は、知っての通りだ。
全く、愛っていうのは、奥が深い。
身体が伴っていない愛情ならば、間違いなく君に負けない自信はあるんだけど、きっとそれでは彼の心は逃げてしまう・・・・気がする。
 
ご飯にしますか?お風呂にしますか?それともオレ?
ふざけて笑う彼に、もちろん君、ときっと俺は今夜も答える。弱った腰をかばって、こっそり小さくとんとんと腰を叩いて。
 
君色に染まれるなら、喜んで。オレの身体の続く限りはね。
ああ、本当に、愛って偉大!!