「っん、やっやだ、アル、ここじゃ・・・ひゃ、ァ!」
「いいだろ、一度してみたかったんだよ」
「イヤだって、だ、誰か来る」
「すぐ終わらすからさ、ダーリン」
ちゅぅぅっと吸い付くようなキスを彼のこめかみにしてから、テーブルの上にある会議資料をばさばさと床に落とす。
もう終わった会議の資料なんて、誰も取りに来ないだろう。菊やルドウィッグみたいに、やけにかっちり真面目な奴らは別として。
ちらちらと入り口ばかりを気にしている恋人の目を塞いで下半身に手をやれば、彼はびくりと体を跳ねさせて大人オトナしくなった。
だって、君だって嫌いな筈がない、こんなポルノみたいなシチュエイション。
まぁ、もしかしたら君はとっくに他の人と経験済みなのかもしれないけど。
とにかく俺は、一度こういった教室とか会議室とか、セックスなんかとは無縁の場所でしてみたかったんだ。
新しい経験と尽きない好奇心は、いつまで経っても必要なものだろう?ねぇ、アーサー。
「ぁ、あ、アル、やだぁ」
バーバリーのベルトをしゅぴっと抜いてスラックスを寛げさせて。
他は何にも乱れさせてない状態で性器だけ露出させるというのは随分変態臭いと、彼じゃなくとも思う。
そういえば、カギ、カギ、鍵かけたっけなあ。ていうか、ついてるのかな、ここ。
むぐむぐと大きく育った彼の性器を咥えながら入り口を見れば、一応きっちりと締まった扉が見えた。
目線を上に上げて、テーブルの上に座って足を広げるアーサーを見れば、真っ赤な顔をしてぶるぶると震えている。
ぎゅぅっと寄せられた太い金色の眉毛と、意外に長い、同じ色に光る睫毛。
可愛いよ、と咥えたまま声を発したら、泣きそうな顔でバカと言われた。
「君、オイルとか持ってないよね?」
「も、持ってるわけ、ねぇだろっ・・・ひゃ、く、咥えたまま喋んな、ばかぁ」
「だよねぇ・・・ん、む」
「ぅあ、あ、やだ、そこ」
唾液を溜めて、わざと音が鳴るように舐め上げると、アーサーは内腿に力を入れてくしゃくしゃと俺の頭をかき混ぜる。
かき混ぜついでにぐっと頭を押されて、喉の奥に刺さるそれに、思わずぐっとえずいた。
ちょっと、嫌がってる割にはのりのりじゃないか、このエロ大使。
はぁはぁと上から聞こえる荒い息は、広い会議室の中でやけに反響するように聞こえる。
それでも「イヤだ」と泣くアーサーを無視して裏筋をべろぉっと舐め上げると、彼は上ずった声を上げて、がくがくと足を震わせた。
「っやば、ア、やばい、アル、アル。オレ、」
「いきたい?いいよ、イって」
「っ、や、」
ぶるぶる震える腕で、彼は何とか俺の頭を引き剥がそうとぐいぐいと髪を引っ張る。痛くない。
出したいはずなのに踏ん張って耐えてるのは、かろうじて残っている理性だろうか。
上を見上げてエメラルドの瞳を開けさせれば、何とも情欲に濡れた瞳で見下ろしてくる。
童顔に見える大きな瞳、半開きの唇、桃色に上気したほっぺた。
愛しいなぁ、本当。ていうか、早くイッてくれよ、いい加減苦しいし。
君がイってくれなきゃ、俺だって突っ込めないだろう。
非難するように眉を顰めて、カッターシャツの裾から手を突っ込んで乳首を捻り上げたら、彼は目を丸くして、俺と目を合わせた状態で吐精した。
口の中に、青臭い、生臭い何ともいえない感触が勢いよく跳ねる。
愛しいアーサーのだってわかっちゃいるけど、これだけは未だに慣れない。
彼はいつも俺のを飲んでくれたりするけど、情けないことに俺はまだ飲み込む事が出来かったりする。
だってまずいじゃないか、いくら愛しい人の体液でもさ。
口の中で小さく萎んでいく彼の性器を舌の上で転がすと、アーサーはやだとか止めてとか、かわいい声で鳴きながら細い体をびくびく揺らす。
口腔コウクウナイの精液を零さないようにクチビルを離すと、ぐんにゃりしてる彼の体を引っくり返して、下着と一緒にスラックスを膝まで一気にずり降ろした。
突然尻を丸出しにされた事に驚いたのか、アーサーは整わない息で何すんだ、と振り返って叫ぶ。
「おっ、おま、何、何を・・・!やめろ、ばかぁ!」
力の抜けた肩を押さえつけて、口に溜めていた彼の精液を丸い尻に垂らす。
ぬるぬるした白い精液は、紅潮してる尻の色に透けて少しピンク色に見えた。
「何って、オイルだのローションだのが無いなら、これしかないだろ!
 スーツ汚れたら大変だろうから、下は全部脱がそうか。ほら、足下げて」
「ばっ、ばか、やめろ!やめ、やめ、」
ぱたぱたと暴れる足を押さえつけて、仕立てのいいスラックスを全部脱がせば、会議室で下半身裸の男という
何とも変態的な絵になった。
靴下と靴は、このままでいいか。何だか俺も君に似て、少し思考がアブノーマルになってきたみたいだぞ、アーサー。
尻にぶちまけた精液を掬い取って、中指一本をぬぅっと尻の窄みに当てて進入させる。
やめろと騒いでいたアーサーはびくっとばねみたいに背中を跳ねさせて、そのままかたかたと震えて静かになった。
変わりに上がるようになったのは、鼻から抜ける甘ったるい嬌声。
ぐぐっと根本まで突っ込んで軽く折り曲げてやると、アルぅ、と可愛らしい声で名前を呼ばれた。
本当に、こういう時の順応能力高いよね、君の体って。ほんと現金。淫乱魔王。
もともと使用用途の違う器官は、何度も行ってる情交ですっかり第二の性器に変わってしまっている。
俺とこういう関係になった時は、すでにもう尻でめろめろになってしまうような体であったということが少し癪だけど。
まぁ、歳もこれだけ違うし色々家の文化もあるし、何てったって彼は俺の育ての親だし。
これからまた俺と色んな事に挑戦していけばいいだろうと、最近は特に気にしてはいない。
一旦指を引き抜いて、二本の指で前立腺を引っ掻いてやったら、アーサーは木製の机をかりかり引っ掻いて長く鳴いた。
「ねぇ、アーサー。俺、ゴム持ってないんだけど」
「・・・お、オレもねぇよ、・・・ッ」
「ナマでしてもいい?いいだろ、中には出さないから」
びくびくいう首に、耳にキスを落としながら彼の好きな声で言うと、アーサーは
掠れた声で「今更言うか」と非難がましく唸った。
許可を貰ったと言うことにして、指を増やして中を広げて、自分の方も準備に入る。
ひゃ、あ、という声をバックに聞きながらスラックスのジッパーを下ろせば、自分で扱く必要なんてないくらいにきちんと硬くなっていた。
ご丁寧に、透明な液を上から垂らしながら。
かちゃかちゃと、自分のベルトも外してうつ伏せのアーサーに後ろから圧し掛かる。
アーサー、と名前を呼んで腰を掴めば、一瞬彼は小さく身を縮めた。
そういえば彼のはどうなってるんだろうと思って前に手をやれば、さっき放ったばかりの性器が
元気よく上を向いている。
弄るように触ったら高い声が上がって、思わず笑ってしまった。本当に好きだね、君って人は。流石は世界のお色気担当、恐れ入るよ。
「ねぇ、折角だからマイクで拾ってあげようか?その声」
「や、ばか、何言って・・・」
「マイクで拾わなくても十分大きいか、君の声は!」
「っあぅ、あ、あ、アル、あ、っゃぁああぁぁあああ!」
ぐっと尻を開いて一気に突っ込んだら、案外つっかかりもナシにぬるっと入った。
腰骨がアーサーの尻に当たって、ぎゅぅっと引き絞られる。
泣きながら呼ばれる名前と中の感触に思わず持っていかれそうになって、やば、と声に出して一度引き抜く。
軽く息を吸ってからもう一度挿入して、彼の腰を固定してぐいぐいと揺さぶる。
暖かい。すごい、気持ちいい。
突き上げる度に鼻を鳴らすアーサーの手は、何やら掴むものを探して机の上をゆらゆらとさ迷ってる。
普段だったら、バックならばシーツなりピローなりある筈なのに。
無意識にベッドと同じ行動をする彼を見て、ここがベッドではないんだと改めて自覚して、顔が赤くなる。
なるほど、確かにこれは興奮するかもしれない。
ガタガタと机を鳴らしながら思う様に突き上げたら、顔の上で揺れていたテキサスがカンと音を立てて落ちた。
机の上、アーサーの顔の隣に落ちたテキサスを、彼は小さな手できゅうっと握って俺の名前を呼ぶ。
アル、アル。アルフレッド。
悲鳴にも聞こえる嬌声に、全身の血が沸騰しそうになった。アーサー、アーサー。
中では出さないって約束したのに、ごめん、無理そうだ。ほんとにごめんよ、謝るよ。
愛してるぞと囁いて、腰を更に高く抱え直して、さぁこれからという時に。
予想もしない、否、していたけどありえない、あって欲しくない事態が起こった。
そりゃ、そういうことがあるかもしれないというスリリングさを楽しむプレイではある筈なんだけど。
まさか、まさかこのタイミングで。嘘だろ、神様。本当にあなたって人は意地が悪い。
「ねーねー、いいじゃん、会議資料なんてさー。もう終わったやつだし」
「駄目だ、家に持ち帰って解析する」
「えー!俺と一緒にサッカーしてくれるって約束はー!?」
「してないだろそんな約束!ああ、まだいたのか、アルフ・・・   ・・・・・・・・・・・ッ!!!!!」
「「・・・・・・・・ッッ!!!!!!」」
ばたーむと入ってきたのは、世界の若きむきむき、スーツ姿のルドウィッグと、白旗フェリシアーノ。
フェリシアーノはルーイの後ろに居る為姿は見えないが、ヴェーというあのおかしな発音は彼以外にあり得ない。
突然の予期せぬ訪問者に文字通り固まった俺とアーサーは、同じく固まったルーイの目を見る事しか出来なかった。
ジーザス、嘘だろ。こんなお約束な事って。いやそれより・・・            ・・・・・・・・・・・・・・・・・見られた。
アーサーに突っ込んだままかちりと固まってしまった俺の思考は、やっぱり鍵はかけていなかったんだなと言う事と、
ハンケツのオレ下半身カハンシン剥き出しのアーサーを見られたという事だけ。
それよりも考える事とか言う事とか何かあるだろうと、どう取り繕ってもごまかしようの無いこの状況で、
何を思ったか俺はハイ、とルーイに挨拶をしてしまった。
「元気そうだね、ルドウィッグ」
「・・・・・・・・・・・お前の方が元気そうだが」
「おかげさまでね!」
うつ伏せの状態で突っ込まれたままのアーサーはそれでもエメラルドの瞳をまん丸にさせて固まっている。
自分でもこの状況は何なんだと疑問詞フレーズを頭に飛び交わせながら左手を上げると、
ルートヴィヒは「邪魔したな」と棒読みで一言言って、来た時同様に扉を閉めた。
普段は余り開かない茶色の瞳を、アーサーと同じようにまん丸にしてるフェリシアーノの首根っこを掴んで。
後に残るは廊下から響く、ぅひょあぁぁぁあああというフェリシアーノの悲鳴と、どすどすと聞こえる、恐らくルーイの足音と、しんと静まり返った会議室。
あんなに淫猥に熱く燃え上がってた空気は一体何処に行ってしまったのか、冷たい室温と無音の部屋が心に重い。
笑うか、怒るか、それとも何事も無かったように続けるか。
3は無いだろうなと思いながら、アーサー、と声を掛けてみる。
相変わらずまん丸な瞳は何処を見ているのか、何度か呼びかけても反応は無かった。
「アーサー、アーサー。あのさ・・・ねぇ、ハニー?大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「アーァサー」
ぺちぺちとほっぺを叩いても反応なし。瞳孔の動きなし。
こういう時自分だけ妖精の国に行けるってずるいよね・・・俺だって今この場からワシントンの家まで一気にワープしたいくらいだ。
ロビーに行けば二人にはまた会うだろうし・・・まさかあの二人に限って言いふらす事は無いと思うけど。希望だけど。
いい加減萎えてしまった自分のものをずるっと彼の中から引き抜くと、ようやく彼はぴくっと反応した。
あーあ、もう、興醒めだ。折角いい雰囲気のままフィニッシュまでいけそうだったのに。
恐らく同じように強制終了させられたであろう彼の首にキスをして、続きはやっぱり家でしようかと呼びかける。
スリリングな雰囲気でするプレイというのは、誰かが入ってきたらどうしようというものを楽しむものであって、
実際誰かが入ってきてしまったら大変不完全な状態で意気消沈してしまうものなんだと言うことがよく分かった。
じぃっとジッパーを上げてベルトを締めて、まだうつ伏せに固まっているアーサーの下に屈みこんで
ほっぽり投げた彼のスラックスを拾う。良かった、大丈夫。撥ねてない。
彼の丸い尻にてらてら光ってる精液をどうしようか少し悩んで、もういいかと思って自分のタイを抜いてごしごし拭いた。
だってもう会議は終わったし、いいだろ。
屈みこんで、尻の窄みまで広げて拭いてやっていると、うひゃっとアーサーの口から変な声が出た。
ハハ、変な声。別に変な事する訳じゃなくて、拭いてあげてるだけなのに。君ってほんとに・・・
お約束の言葉が頭をよぎったその瞬間、彼の足元に屈んでいた俺は、その床に目を落としてびしりと固まった。
丁度、彼がぶらりと体を預けているツクエの真下、テキサスを通して目に入るのは小さな白い水溜り。
そんなに濃い白ではないそれは、今俺がタイで拭き取っているものと同じとろっとした感触。てらてらとした、見慣れた反射光。
まさか。まさか、君。嘘だろ。ねぇアーサー?
ゆっくりと顔を上げてアーサーの目を見れば、じわじわとグラデーションに赤く染まって、エメラルドの瞳にはうりゅうりゅと涙が溜まっていく。
まさか、という単語は疑問詞にはならない。予測的中、その確認だ。
アーサー、と恐る恐る名前を呼んだら、大きなグリーンに溜まっていた涙はぼろっと落ちた。
「・・・・・オ、オレ、オレ、衝撃で、ルートヴィヒの顔見て、イっちまっ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジィィイイイイィィィィィイイイイイイイィザァァァス!!この、変態!!!!
「冗談じゃないぞ、どこまで変態なんだよ、君は!」
「おっお前が、お前が悪いんだろぉぉぉ!!」
「これから君がイく度にしばらくルーイの顔が浮かぶとか、言わないでくれよ。頼むから!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・う、う、浮かぶわけねぇだろっ、ばか!」
「何なんだい、その間は!ああ、もう!!」
ジーザス・クライスト。冗談じゃないぞ、本当に冗談じゃない!
まさか、まさかこの人があんな筋肉むきむきの年下(俺よりは年上だけど!)にわき見をするなんて考えたくないけど、
可能性が全く無いと自信持っていえないのは、エロに関してはいつも俺の予想の斜め上を行くこの人の性格をよく知ってるからだ。
ルーイ、という名前を出すたびにぽぽぽっと顔を赤く染めるアーサーを見て眩暈がする。頭痛が痛い。ああ痛い!
しばらくは、会議の場でもしっかり見張っていなければ。
ルーイの性格とブラザーコンプレックスの彼の兄と、常にフェリシアーノが側にいるから、まさか間違いは起きないと思うけど。
愛しいこの人は懐古主義のくせしてやらしくて気持ちのいい事にはオープンなんだ。それこそ新しい物好きの俺も頭が上がらないくらいにね!
取り合えず家に戻ってからしっかりと愛して上げなければと決意して、無言で頬を赤らめるアーサーの手を取って、
俺たちはやけに広い会議室を後にした。