・・・・・・・・・・・・・ああ、もう、いったいどうなっているんだい。
今日は会議があるからと言われて、他の会議を早めに終わらせて、ランチも取らずに
フライトで来てみればもう会議は終わってて。恋人がへろへろに酔っ払ってて、俺はそれに腹を立てていた筈だ。
酔っ払わせた奴にも、何よりもこのめろめろになってる人にも。
なのにどうして、どうして俺はレストルームの個室で、この人にエロエロなフェラチオなんてされてるんだろう。
「ん、ん、むー・・・」
「っ、アーサー、もう、いいから」
「やら、飲みたい」
「・・・・・・・・ッ!!」
精一杯に頬張りながら、むぐむぐと咥えられてそんな事言われて、すごくすごく不覚だが、ずくんと腰が痺れた。
こ、この、エロエロ大使!
久々にしてもらう口淫ていうのは感覚的にも視覚的にも非常に刺激的で、
俺は立った状態で、股の間にしゃがみこんでるアーサーの髪の毛をぐしゃぐしゃ掻き回す。
あのままパウダールームでこんな事するなんて冗談じゃなかったから、
取り合えず個室に引っ張り込んでキスをした。
もう、くそ、二回言うけど、ここ一ヶ月はお互い忙しくて会うのは愚か声だって聞けてなかったんだ。
酔っ払って半分覚醒してない状態だってのは分かってるけど、エロくしゃぶられた状態で
「したい」、と強請る恋人を突き放せる程俺は枯れてないし、紳士でもない。
ただ、やっぱりこんな場所でっていうのは抵抗があるんだけど。これは本当に。
お互い少し熱を醒まして、その後タクシーでモーテルにでも止めてもらって、
そこで会えなかった分を埋めればいいやと思っていただけなのに。
何で、君ってばそんなにのりのりなんだい。
何で、俺のをしゃぶりながら自分で後ろを解してるんだ。
何でそんなにエロエロなんだよ、君って人は!
「・・・んむ、は、ぁ、アル、アルぅ」
「あ、アーサー、ねぇ、ちょっと・・・ッ!」
「んん、んー・・・、ん、ひぁ、」
ぐちゅぐちゅ聞こえるのは、この人の口からか、解してる後ろの穴からか。
いつの間にスラックスとトランクスを脱いだのか、カッターシャツ一枚になった彼は
金色の眉毛を顰めながら、右手で俺の、左手で自分の後ろを解してはぁはぁ喘ぐ。
時々好きな所に指が触れるのか、びくんと背中を反らす度に歯が当たって、やけにそれが興奮した。
やばい、ちょっと、もう待ってくれよ。
俺はアブノーマル好みの君と違って、こんな狭い、スリルを味わうようなセックスはもうこりごりなんだ。
大きなベッドで、裸で抱き合って、思う存分声出して愛し合った方が気持ちいいだろう、ねぇ、アーサー!
声高にして言いたい所だが、可愛い恋人に根本までしゃぶられて興奮してる様では
説得力がない。本当に。
切なそうに睫毛を伏せてご奉仕する彼に、本気で顔射でもしてやろうかと思ったけど
ここでリードされっぱなしでも敵わないと思って、濡れた金髪を掴んでべりっと顔を引き剥がした。
もう、一回さっさと出させて連れて帰ろう。第一こんなエロエロな顔、他の奴らに見せられるもんか。
「あ、アル」
「後ろ向いてくれよ、ダーリン。俺もしてあげる」
引き剥がした唇に繋がるは、とろっとした銀色の糸。情欲に濡れたグリーンの瞳に
キスをして、ふらつくアーサーを立たせると、立場を変えたように俺は彼の後ろにしゃがみこんだ。
白くて丸い尻をにぎにぎしながら、奥の窄みに舌を寄せる。
痩せっぽちなのに、どうしてこの人尻は丸いんだろう。ここもエロ大使のなせる業か。
ぺちゃ、と舌を当てて、少し尖らせて突っ込んだら、頭上からひゃっと裏返った声が聞こえた。
びく、内股が痙攣する。膝、落ちやしないかな。
構わずに唾液を乗せながら、両手の親指を突っ込んでぐぅっと広げる。
さっきまで自分で弄っていた所為か、入り口はだいぶ解れて柔らかくなっていた。
舌と指を使って、ぺちゃぺちゃ音を立てながら奥の方を広げてやると、
恋人は切なげに息を吐いて、ぶるぶると足を震わせる。
「や、い、挿れて、アル」
「・・・・だめだぞ、一回イって、落ち着いてくれよ。続きは帰ってからしよう」
「やらぁ」
下っ足らずな、エロい声。
きゅうきゅう、指を離さないとろとろなそこがイヤになるくらい下半身に響く。
個室のドアに体重を預けて、尻を突き出すようにして誘う恋人に、軽く舌打ちして立ち上がって、
薄い腰をぎゅぅっと握った。
アル、アル、好き。アルぅ。
・・・・・・・・・・ああ、オーケイ、もうだめ。俺の負けだ。
もともと、こんないけない性癖を知った上で命がけで落とした恋人だ、つきあってやろうじゃないか、もう!
ドアに手をつかせて、後ろからぐぐっと圧し掛かって赤くなった耳にべろを突っ込んだら、
アーサーは気持ちよさそうに声と体を震わせて、自分の股の間から俺の性器をぎゅぅっと握った。
「い、挿れて、いれて、アル、」
「がっつかないで、ちょっと、足、もうちょっと開いてよ」
「ひゃあ、やだ、おっき、っあぅ・・・!」
「声くらい、抑えてよアーサー!」
両足の膝で足を開かせて、両手で白い尻をぐっと開く。
とろとろになってる彼の後孔に向かって、少しだけ先を突っ込んでから、そのあと一気に自分を突きたてたら、
彼はひきつったような泣き声をあげた。
アルコールの所為なのか、やけに熱くてぐずぐずになってるそこは、根本まで埋めると絡みつくみたいに
奥へ奥へと誘ってくる。
久々の感覚に眩暈がしそうになったが、アーサーの身体ががくんと沈みそうになるのを引っ張り起こして、
気合で耐える。
ちょっと、アーサー、落ちないでくれよ!
個室の壁に手をつかせて後ろからがくがく揺さぶると、アーサーはやらぁ、と舌の回らない口調で泣き叫んだ。
「っあ、あ、あ、アル、アルぅぅぅうう!やっ、あ、ああぁぁあああ!」
「ちょっと・・・、本気で声が大きい、アーサー!」
「やら、あ!、気持ちいい、アルぅ・・・・!ん、んむ」
がん、ごん、と音が煩いのは力の入らないアーサーの頭が個室のドアにぶつかってるからだ。
もうこのレストルームに入った時点で何が起きてるかなんて丸分かりだろうけど、
外の廊下まで聞こえたら敵わない。
はしたないくらい甘く叫ぶ恋人の口を片手で封じて、身体を支えてゆさゆさ揺さぶる。
後ろから突っ込んでるから顔は見えないけど、んー、んー!と非難する悲鳴と、塞いでいる手の甲に
生ぬるい感触が伝わったから、泣いているんじゃないだろうか。
気持ちが良くて、エロ大使。
がつ、がつ、とドアにぶつかってる頭と身体が可哀想になって体をこちらに向けて、一度引き抜いてまた突っ込む。
足を抱えて駅弁みたいな体勢にしたら、アーサーは俺の肩に噛み付いてぶんぶんと頭を振った。
「何?コレ、よくない?」
「や、アル、いい、いい、」
はふ、はふ、と自分も息を上げながら、形のいい小さい耳に尋ねる。
むずがる子供のようにアーサーは首を振ると、ぎゅぅっと俺の首にしがみついて、あろうことか
ゆさゆさ体重をかけて腰を振り始めた。
アル、アル。はぁはぁと、舌足らずに、涙声で。
や、やばい。膝が、膝が笑う。
がくがく言い始める足に、真面目にトレーニングをしていれば良かったと心の中で舌打ちして、
後ろにある洋式の便座に慎重に腰を掛ける。座位になった体位で下から突き上げてやれば、
アーサーはきゃぁっと変な声を出して身体を仰け反らせた。
「あ、きもちい、いい、アル、あるふれっど」
「・・・わかったから、もう少しボリューム落としてくれよ、ハニー」
「ん、や、あ、っあぁぁあ!」
「ねぇ、聞いてる?聞いてよ」
見詰め合って、お互いだらだら汗をかきながら、キスをして。
むちゅ、と唇を重ねると彼はぐぃーっと顔を寄せて、夢中で舌を絡めてくる。
もちろん、腰はゆらゆら、止まらずに。
一体、この人ってどこまで俺より経験豊富なんだろう。
後頭部を両手で押さえられて舌を絡め取られて、はふ、息継ぎをしながらぼうっとする頭で考える。
何百年、俺と生存してる年数が違うのかなんてのは深く考えた事がないけど、
年数の分だけ経験の差が出てるのかと思うとたまに悔しくなったりもする。
恐らくこうして酔った勢いで他の奴らと寝た事もあっただろうし、
こんなエロエロな彼の事を知ってるのも、間違いなく俺だけじゃない筈だ。
過去の事をどうこういうのは、好きじゃない。意味がないから。
だから、古きよき時代とかいうのにも、石器時代の歴史にも、全くもって興味がないんだ。
過去は過去で、今は今。今が、一番大事。
そんな俺でも君をこんなにエロくしたのは一体誰なんだろうと、時々思うんだよ。アーサー。
意味のない事だとわかっていても、ねぇ、これは一体なんなのかな。
ぐっと白い臀部を開いて、空気を入れるようにぐちゃぐちゃと音を立てて、彼の体を上下に動かす。
引き攣ったようにからだをびん!とさせたアーサーは、熱に浮かされたように俺の名前を何度も呼んで、
薄い腹筋をぶるぶると震わせた。
靴下だけ脱いでいない下半身、つま先がきゅうぅぅっと丸くなる。
はっ、はっ、と短くなる息継ぎに、限界かなと思って突き上げのリズムを早めてやれば、
アーサーはぎゅぅぅっと俺の肩をシャツ越しに掴んだ。
「っは、はぁ、はぁ、あ、アル、アル!出る・・・いく・・・・っ!」
「っ、アーサー、」
「っあ、やぁ、あ、アル、アルぅ!」
びく、緑色の瞳が大きく開いたと同時に、シャツ越しにぬるい感触が跳ねる。
ああ、くそ、シャツ、脱いでやれば良かった。
一瞬頭の隅で思って、達している最中であろう彼の体を構わずに突き上げる。
揺すり上げる度にびく!と大げさなくらい跳ねる軽い体は、リズムと一緒に何度か白い精を吐き出した。
ああ、すっごい。気持ちいい。
この人がイく瞬間っていうのは、一体どうなっているのか体全部がエロく出来ているのか、直腸が絡みつくように
収縮してうねってくる。
くたっとなってしまった背中を抱きしめて、座位のまま最後までいこうと、自分の動きやすいように体勢を整えた時。
くにゃん、とアーサーの体から力が抜けて、ずるりと細い体が落ちそうになった。
わっ、と思って腰から落ちそうになる体を支えて、アーサー?と声をかける。
「アーサー、ねぇ、ちょっと、大丈夫・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・で、声をかけて、そのまま思わず絶句した。
くたんとした体は重く、ぴくぴく痙攣した瞼は開く事なく、半開きの口からは、すくすくと小さな浅い呼吸音。
ちょっと、まさか。
うそだろ、という予感は、だいたい、当たる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トんでる。ちょっと・・・・・この人、本当に、いい加減にしてくれよ。
この時点で、俺の怒りは沸点に達した。
「ちょっと!ねぇちょっとアーサー!勘弁してくれよ、俺はまだイってないんだぞ!!」
赤い顔をしたままうんともすんとも言わない、ぴくとも反応しない恋人は、
俺のを突っ込まれたまますぅすぅと深い寝息を立てている。
怒鳴っても、そのまま何度か突っ込んだのを揺らしても、起きない。効果、反応共にナシ。
あんまりに頭に来て、ごん!と頭を殴ったが軽く「ぅぅん」と言うだけで、全くもって覚醒する気配は無かった。
ジーザス、嘘だろ。ちょっと・・・・もう、本当に勘弁してくれよ。泣きそうだ。
いくら愛しい人でも、俺には意識のない人間に突っ込んで腰振って射精するなんて趣味は無いんだ。
そんな人形相手にオナニーするような、変態的な趣味は!
だったらさっさと抜いて自分の右手に活躍してもらう方が何倍もマシ。
もう、もう本当に本当に、最悪。長い長い溜息をついて、俺はがくりと頭を落とした。
だから酔っぱらいは嫌いなんだ、自分だけ気持よくなって終わったらさっさと寝てしまうなんて、
最悪最凶にも程がある!
ファック、と本気で苛立って舌打ちして、でも苛立ちをぶつける相手は寝てて。
俺は頭を抱えて大きくため息をついて、仕方なくずるっと自分を引き抜いて、情けなくも後は自分で処理をした。
どうして、目の前にとろんとした寝顔の愛しい恋人が居るのに、トイレでこんな事しなきゃならないんだ。
何だかつやつやとした可愛いほっぺたがやけにむかつく。
起きたら、本当に覚えてなよ。この最凶酔っ払いエロ大使!!
「いってぇぇぇぇぇぇ・・・・頭、痛い・・・・・・・くそー・・・・」
「・・・・・・・・・・お目覚めかい、憎っくき愛しいお姫様」
「・・・あ?アル?お前、何でここに・・・・会議出てなかっただろ」
「ちょっと、そこから!?嘘だろそこから!!?」
「何言って・・・つうか、ここどこ・・・ってめぇ!寝てるオレに何かしただろ!何だよこのキスマーク!変態!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!!!!!」
赤い顔して怒鳴る恋人に向かって、俺の正義の鉄鎚が落ちたなんて事は、言うまでもない。
ちなみに、あそこまでべろんべろんになるまで彼にアルコールを振る舞った困った人は予想通りだ、
あのセクハラワイン。
何すんだよいきなりこのバカぁ!隣でぎゃぁぎゃぁ喚く恋人を無視して、あのお髭さんには
次に会った時、お返しにアーサーの手作り料理を振舞ってやろうと心で強く決意した。
http://x5.karou.jp/bin/ll?07705970r