「モーニン、アーサー。お目覚めはどう」
「・・・喉、痛ぇ。どうなってる?身体・・・」
「残念ながら、まだレディのままだぞ。ハニー」
かちゃりとテキサスを掛けて、ぐったりしてる恋人に爽やかに笑いかけたら、彼は「ファック!!!」と叫んででっかい枕をばしんと叩いた。
昨日の朝、何の呪いか妖精のイタズラか、はたまた彼という国家の何かが変わったのか、突然女性の身体になってしまった男の恋人は、
枕に埋まってしくしく泣く。
死にたい、死にたい、死にたい。
夢だと思ってたのに、起きてもこうならもう夢じゃない。妖精たちのイタズラは一晩、夜が明けても魔法が解けない事はない。
ぶつぶつ、しくしく泣きながら、枕に埋まるのだけで飽き足らず、もそもそと毛布までも引っ張り上げる。
アーサー、俺も裸なんだけど。
俺の方にある毛布もくしゃくしゃ引っ張って、みのむしみたいになる恋人。
「寒いだろ!」とべりぃっと毛布を引っぺがして薄い背中にひっついたら、アーサーはひぐっと喉を鳴らして身体を捩った。
「ちょっと・・・別に何もしやしないぞ、そんなに構えないでよ」
「だっ、だ、だって」
「して欲しい?結局できなかったもんね」
「欲しくねーよ!ちょっと、離れろ、」
「ははは、声がらがら」
笑いながら体勢を変えて、よいしょと乗り上げる様に、細い身体を抱きしめる。
俺の身体の重みで潰されそうになったアーサーは、ばしばしばんばん俺の背中を叩いて、潰れる、重い、と掠れた声で叫んだ。
抱き心地は対して変わらない、女性になっても彼は相変わらずカリンカリンのまんまで、骨ばってる。
少し汗で滑らかになってる脇腹からするっと腰骨を撫でて、そのままゆっくり内股に。
耳元で名前を呼んで茂みに一本指を這わせたら、抱きしめた背中はばね仕掛けの人形みたいにびくんっと跳ねた。
『い、痛、いたぁ、無理、』
『無理って、ちょっと、もう少し』
『イヤだ、もうヤだ!だいたい、しょっ処女にお前のサイズってのがそもそも無理なんだよ!』
『誉めてくれてるのならば有り難く受け取らせてもらうけど。今更止めるとか、ナシにしてくれよ、ほら、』
『っん、んー・・・!ぁ、あ、や、やだぁ・・・!』
当然、初めて女性の身体になった彼の身体はまだ未貫通の状態で、普段は俺の遙か上を行くエロ技多数持ってる彼も、
土俵が違えばそれは何もかも初めてで。
いつもしてる前戯一つにしたっていちいち敏感に反応してその度に喚いて、宥めて、
感じたことのない痛みとか気持ちの良さとかには結構ぼろぼろ、本泣きして。
女性を抱いた事が無い訳じゃない、そりゃ、バージンの女の子とするのは初めてだけど。
今思えば、相手になっていたくれた女の子は、皆結構経験豊富だった子だったんじゃないだろうか。
こんな風にぐずる事も泣き出す事も無かったし、あの時は俺がリードしていたと思っていたけど、もしやあれはリードされていたのだろうか。
俺が動きやすいように。なるほど、こうしてバージンの人と対面するとよくわかる。
アーサーと一線を越えた時だって、彼の場合はちょっとアレすぎて正直引いたけど、こんなに疲れたりしなかった。
改めて、何事も初体験というものは、大変だ。
ついには泣き出してしまった恋人をどう宥めてやろうかと、心の中で息を吐いたのを覚えてる。
『大丈夫だよ、ほら、ちゃんと濡れてるし』
『や、やだ、っ、ぁ、そこ、やだぁ・・・!』
『ねぇ、限界なんだけど。無理矢理なんてしたくないから、お願いだから力抜いてよ』
『いやだ、痛い、痛ぃ、ぃっ』
足を広げさせて指を入れても、中指と人指し二本で処女膜張った彼のそこはもうきちきち。
確かに、これで俺のを挿れるってのが無理あるかもしれないけど・・・男の時は後ろでやってたじゃないか、そっちのが本来不自然なのに。
最初は痛いって皆言うし。だいたい、こんな感じでスタートしてから早二時間。
いい加減、俺もはちきれそうだ、主に下半身。
もう無理、ごめん、と心の中で小さく謝って、膝頭を掴んで足を開いて、無理矢理腰を進めたら、
ヒッ、と涙の溜まった碧色の瞳が大きく開いたと同時に次の瞬間、派手に、渾身の力で引っぱたかれた。
「・・・まさかあそこで引っぱたかれるとは思ってなかったぞ」
「お前が無理やり突っ込もうとするからだろ!」
「あの状態じゃいつまで経っても出来やしないよ」
「てめ、こっちの気持ちも考え・・・てっ、ちょっ、なっ何ッ」
「思い出したら、気が変わった。しよう、アーサー」
「っ、や、やだっ、やだってばっ!」
俺の身体の下敷きになりながらぐぐぐ、と肩を押してくるのは相変わらずの細い指。
こちらも負けずに体重を乗せれば、突っ張ってる二の腕はぶるぶる奮えて、だんだんと身体の距離を縮めていく。
中指、一本。
開いた足の間に潜らせたら、くちりと濡れた水音が聞こえた。
「あっ」
「・・・濡れてるし。女の人って朝の方が感じやすいってほんとかな」
「あっ、ぁ、・・・っや、だ、指、」
突っ張っていた手は、俺の二の腕をぎゅぅぅと掴む形に変わり、金色の眉は切なそうに歪んで、碧色の瞳がうるうる潤む。
はぁ、吐き出される熱い息。どちらの身体でもすぐにスイッチが入るところは同じらしい。
軽くごくりと唾を飲んで、爪の先だけ入れていた中指をもう少し奥まで進ませる。
ぬるぬるして熱い内部、軽く指を折り曲げて内壁を擦ったら、彼は白い喉を軽く反らせて、啜り泣いてるみたいな声を上げた。
こんなに気持ち良さそうなのに。
指を増やして広げようとすれば痛がる、バージンでも気持ちのいい事には変わりはないらしいのに。
「あ、あっ、あっ、アル、」
「これくらいなら気持ちいいの?」
「ん、ぁっ、はぁ、うー・・・」
ぎゅぅっと引き締められる内壁、はぁはぁ、上がった息で呼ばれる名前、縋りつくように首に回される腕、睫毛にたまった透明な涙。
軽く浮いたつま先はぴんっと伸びて、内股がぶるぶる震えて、ちゅくちゅくと中指の出挿を軽く開始してやれば、空を蹴るようにばたばた動く。
「アル、アルッ、あ、アル・・・!」
ほとんど真平らな胸だけど男の身体の時よりは少しだけ膨らんでて、触れば少し柔らかい。
悲鳴みたいな喘ぎ、空いてる左手で乳首をきゅっと捻ってやれば跳ねる身体は中に入れてる指を千切らんばかりに収縮させる。
気持ちいいかと聞いてみれば、うわごとみたいに、いい、と頷かれて。
ちょっと、昨日も思ったけど、これで据え膳なんて、残酷だろう。
「ねぇ、指増やしていい?挿れたいんだけど、今日こそ」
「やだ、ぁ、やだ、あ、い、けそう、待って、」
「我が侭。じゃぁ後ろでいいから」
「待っ・・・、ぁ、あっあ、あ、あ・・・!」
乳首を弄ってた左手、中指をべろっと舐めて、恥かしい液でべとべとになってる後ろの穴にゆっくり入れる。
はぁっ、と息を飲む音、前の穴を弄る動きを止めずに、気にせずぐちぐちと指を進める。
薄い壁を通して、中に突っ込んでる自分の指が分かる。ぼろぼろ涙は流れてるけど、アーサーのこの顔は気持ちのいい時にしか見せない顔だ。
切なそうに顰められた眉に、とろっとした半開きの瞳。
処女の癖にずいぶんやらしいなぁ、流石腐ってもエロ大使。
一回両方の指をずるっと抜いてうつ伏せに引っくり返して、その後一気に両方の穴に中指をぐぅっと突っ込んだら、
白い喉から悲鳴みたいな長い長い悲鳴が上がった。
「ヒ、ぃあっ!あっ、あぁっ、やっぁ、あ、あ、あ!」
「どっちが気持ちいいの?前?後ろ?」
「やだっ、あっ、あ、いく、あ、やだぁ、いく、いきそう、やだぁ・・・!」
「いいよ、イッた瞬間に後ろに挿れてあげるから」
「っひぁ、あっ、いく、やだぁ、い、イッ・・・    やっあ、やだぁ!やだぁぁぁあっ!」
白い背中にぶわっと汗が浮かんで、びくんびくんと身体が震える。叫んでる言葉は理解不能、前に突っ張った手は、
しわくちゃになったシーツをぎりぎり掴む。
前に入れてる指がぎゅぅぅっと搾られて、あ、イったかな、女の人ってイマイチ今どんな状態になってるのかわからない。
ずるっと後ろに入れてた指を引き抜いて、ぬるぬるになってるそこに自分の性器を勢いよく押し当てたら、
行為に慣れてるそこは何の抵抗もなく、一気に根本までずるっと入った。
上がる悲鳴、全身にぶわっと鳥肌が立って、両方の穴を一気に締め付ける。
千切られそう、軽く痛みを覚えながら眉を顰めて、片手で細い腰骨を掴んで、躊躇無く高く上げられてる尻の中を突き荒らした。
「やだぁっ!いや、やだ、やだ、やだ、また、ぁ、やだぁッ・・・!」
「いいってば、イって、ッ、どうでもいいけど、アナル開発済みの処女って、君くらいなんじゃないの、アーサー!」
「ぁ、あッ、あ、やだ、いく、いっぁ、あぁっ、あぁぁあぁぁッ!」
前に入れてた指を抜いて、女性のみにある性感帯、茂みの中にある肉の突起を弄りながら高く上げてる腰をがくがく揺さぶって、
尻の穴特有の締め付けに目を瞑る。
出来れば、折角だからこっちに入れたかったんだけど。くちくちと前の穴を弄って、悲鳴を上げて泣く彼の尻をぱしんと叩く。
とろとろ内股を濡らす、男の身体との時とは違う分泌液。そういえば、この身体になってからは舐めてあげてない。
いいや、後でしてあげよう。
ぎゅうぎゅう締めつけてくる直腸、性感帯である前立腺は女の人には無いらしいけど、どうなの、アーサー。
気持ちいい?耳の中に舌を突っ込んで上がった息で問いかけたら、恋人はぼろぼろ涙を流しながら「きもちいい」と泣いて、
俺が後ろに吐精するまで、高い声で鳴き続けた。