■イギリスが女体化してます。
■ちょっぴりですが性描写が入るので、苦手な方はお戻りくださいませ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オーケイ、いいかい。よく聞いてくれ。
 
まず、俺は決してゲイでは無いという事。
ただ単に、好きになった人が男の身体を持っていただけだ。好きな人が同性だからといって、それは別に問題ではない。
今では俺の家でも、結構な州でマジョリティとして認められてきてはいる。
ゲイを認知して欲しいわけじゃない、ただ、差別は止めてくれ。俺たちだってフェミニストを馬鹿にはしない。オーケイ?
 
2点目。俺は、女の子だって大好きだ。
だってそうだろう、神様はきちんとセットになるように、造り分けられておられるんだよ。
先ほどの話と矛盾するかもしれないけど、ペアは男と女、ワンセット。これが自然の成り行き、そうなるように、俺らはそう造られてる。
女の子とデートしたことがあるかって?それはもちろん。あまり大きな声では言えないけれども、夜の街頭に立つお姉さんにだって、お世話になった事はある。
俺だって健康な、ただの成人男子だ。見た目年齢的にはこの国では成人してないけど。
誤解しないでよ、彼とこんな関係になってからは浮気は一度だってしてない。身体だろうと心だろうと、他の誰かに一度だって許したら、それは完全な浮気になる。
 
3点目。
今までの告白を踏まえて聞いてくれ。
俺の恋人は男で、それでも俺は、男は女性とペアになるのが自然の成り行きだとは、思ってる。
ただ単に、俺らが異端なだけだ。だからって後ろ指差される事なんて何も無い、もともと結婚だの子供だの、自分の意思ではどうとでも出来ない不自由な身だ。
だから、彼が男で俺も男であることには、特に、何も不満はないんだ。いいかい、本当だよ。
だからね、えーと、何が言いたいかって言うとだね。
 
・・・・・・・・・・・・・・オーケイ、わかった、言うよ。正直、少しそんなのもいいかなと、想像した事はあったけれども。
え?
・・・・・・だから、女性になったアーサー。悪趣味だよ、知ってるよ、わかってるよ、だからそんなに責めないでくれ。
いいだろ、考えるだけなら、しかもちらっと、ほんとにちらっと、どんな感じかなぁ、それくらいだぞ!
コレが俺の妄想の産物、彼の言うミラクルなマジックだとしたら、全力で今すぐ目を醒ます。
まさか、だからって、考えないだろう。
 
 
昨日愛した、男であるはずの恋人が、朝起きたら女性になってるなんて、一体誰が考えるか。
 
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
驚きすぎて、声が出ない。
人間恐怖を通り越すと笑いが出るというが、想定外の予想外の出来事には、脳みそが思考に追いついてくれなくなるらしい。
目の前にいるのは、確かに、昨日激しく愛し合った、愛しい恋人。
アーサー・カークランド、金色の傷んだ髪の毛に、同じ色の太い眉、宝石のような緑色の瞳、痩せた体に、彼の匂い。
お互いの情勢だとか歴史だとかで多少外見は、変わってくる。でも本質は変わらない。
幼い頃から一緒に居た俺は特にわかる、この独特の匂いはアーサーだ。紅茶と薔薇と少し葉巻くさい、彼の匂い。
すんっと鼻を鳴らせば、お互いの汗の匂いと、精の匂いも。
昨日後始末も何もせずにそのまま寝ちゃったからなぁ、そう、頭の片隅で冷静なもう一人の俺がいる。
隣で俺と同じく呆然としてるのはアーサーの顔した、アーサーの匂いのする女性。
アーサー、の筈の、その、女性は、恐る恐る、つるりとした自分の股間に手をやって、ヒッ、と瞬間、息を飲んだ。
 
「な、な、な、ない、無い、無い、ない、ない、ないッ!!無い!!オレの、オレの大事なあいつがない!!」
「落ち着いてアーサー!かわりにちょっと可愛いのがついてるぞ!ちょっとっていうか、だいぶ小ぶりであるのかないのかよく分からないけど!
 だいたい君は痩せすぎなんだよ!」
「ぅるっせーな!ちょっと、おい、おい何だよ、なんなんだよ、コレ!!」
「あー知らない知らない、朝から大きな声を出さないでくれよ、耳が痛いぞ!」
 
大きな声を出すなと言う俺も、実際トーンは高くなる。
どっと噴出す、背中の汗。
女性の身体になったアーサー、顔つきはあまり変わらないけど、少しだけ、ほんの少しだけ、険が薄い感じはあるだろうか。
胸は想像通り、ほぼ真っ平ら。もともとあばらが浮いて見えるんじゃないかと思うような人だったから、それよりも少し肉付きがよくなっているような気はする。
変わった部分?えー・・・肩幅?ちょっと小さくなった?いや腰?ごめん、よく分からない。
声もたいして変わってない。ちょっと高く・・・なってる?かな?
頭を掻き毟りながらぎゃぁぎゃぁ騒ぐ恋人に、ウェイト、落ち着いてと背中を擦る。少しだけ狭くなった背中。
かさかさした肌も、少しだけしっとりしてるかもしれない。
どうだろうと思いながらさすさすと背中を撫でていたら、そのうちにばこんと裏拳をくらった。
 
「なっにするんだい、強暴だな!」
「・・・お前、オレが寝てるうちに何かしたんじゃねーだろーな」
「何かって、何を?俺に君を女性の身体にする力があるとでも?」
「それを聞いてんじゃねーか、合衆国」
「いくら俺の家のテクノロジーが進化してても、流石に一夜で君を性転換するほどの技術はまだ無いよ」
 
そう、そんなもの、あってたまるか。あったらこの世界の性同一性障害で苦しんでる人間、一人残らずこの腕使って救ってやる。
よってこの余りにも現実離れした彼の身体の変化は、俺の所為では決して無い!
だいたい、俺の妄想がそのまま形になってるんだったら、君の胸はこんなにぺたんこではない筈なんだ。
抱き心地は大切だぞ、アーサー、ねぇ、もう少し太ってくれよ。
そう、ぺたぺたと身体を触ったら、彼は更に頭から湯気を出して「貧弱で悪かったな!!」と叫んで枕を投げた。
 
 
 
 
「クッソ・・・なんだこれ、一体どうなってんだ、妖精の仕業か?」
「ワォ、シェイクスピアの妖精パック?真夏の夜の夢、だったらこれって全部夢かな」
「・・・ありえなくは、ないけど。オレの身体をどーにかするよりも、夢オチのがリアルかも」
「いや、リアルではないだろ」
 
流石ファンタジー大国イギリス、イングランド、君の口から妖精という言葉が出るたびに俺は結構引いてるんだけど。
夢なら寝りゃ醒める、そう言ってばふりと毛布をかぶって目を瞑る恋人、顔は全然変わってない。
ちょっと睫毛長いかも・・・そう顔を近づけて金色に光る睫毛をぴぃんと引っ張ったら、彼・・・彼女?は、ぴゃっと悲鳴を上げて起き上がった。
 
「なにすんだよっ!」
「あ、胸、ちょっとある?」
「ひゃっ、さ、さわんなっ」
「ねぇ、アーサー、どうせこれ、夢なんだろ」
 
どっちの身体でも細い腰、両手を巻きつけて引き寄せて、うすーい胸に顔を埋める。
男の時よりも柔らかいかも。すべすべの胸元に頬擦りをして、ポコポコ湯気を出す彼を見上げて、笑う。
テキサスが冷てぇんだよ、ばか、離れろ、
真っ赤になって俺の肩を押すアーサーの手を取って、口元に寄せて、軽くキス。
 
「夢なんだろ?」
「夢だよ」
 
茹る恋人、細い細い身体を、ふかふかのクッションに押し倒して。
じゃぁ、どうせ夢ならさ。
どうせ、俺が作った妄想なら、最高に現実離れしたファンキーな、やりたかった事をしてもいいだろ。
 
ロスト・バージンしようよ、ミス・アーサー。
 
 
によっと笑ってテキサスを外したら、彼は一瞬何のことだと固まって、その後「バッカじゃねぇの!!」とでっかく叫んだ。
 
 
「どうしてさ!いいだろ、どうせ夢なんだろ」
「お互いの意思が疎通できてる夢なんてあるかバカ!夢でもイヤだよ、ふざけんな!!」
「なんでさ、いいだろ、抱かせてくれよ!」
「抱かせっ・・・!」
 
ぼぅんっと頭から湯気出して、ぴーっと真っ赤になるアーサー。
あれっ、何だ?
おかしな事でも言ったかな、と思いながら、痩せた身体の上にのしかかる。
ほんの少しだけ頼りない肩、柔らかい身体。彼ってば細い上に骨ばってるから、どこもかしこも硬くてカチカチで。
いいだろ、ハニー。
ふざけて笑って、ぱさぱさの金髪に、小さくキス。ふわっと昇るのは頭皮の匂いと、ほんの少しのコロンの香り。
昨日嗅いだ香りと、そのまんま。
どっちにしても、朝起きたら絶対にもう一回お願いしようと決めてたんだ。なんたって今日から、二人揃っての三連休。
滅多に合わない休み、しかも連休。何処かに出かけようと言い出しても「家から出たくない」の一点張りの恋人の為に、ゲーム機やらDVDやら持ってきて、
この三日間はとことん彼と引き篭もろうと心に決めてやって来たんだ。
いつもは彼に負けっぱなしのベッド対決だけど、彼が女性の身体になってるのであれば、今回は絶対に勝てそうな気がする。
勝負する所ではないけれど、俺はいつも悔しくてたまらないんだよ、ねぇ、アーサー。
処女性にこだわる訳ではないけど、君の身体が開発済みって事にね、くだらないだろ。いいよ、笑って。
くだらなさついでに、ちょっと付き合ってよ。
この女性の身体での最初の男が俺になるってことにさ、それで君の愛しい男が満足するってんなら、願ったりだろ?
 
「優しくするからさ、お願い、アーサー」
 
ちゅ、と何度かついばむように頬と額にキスを落として、髪に指を突っ込んで、手櫛で何度も何度も梳いて。
少しだけ細くなった手首を取って、白い甲にもう一度キスを落としたら、彼は真っ赤になりながら、ぱくぱく口を動かした。
 
 
 
 
「あ、あんまり、揉むなよ、」
「んー・・・揉めば大きくなるかと思って」
「都市伝説だろ、バカ」
 
少しだけ、少ーしだけ、昨日の身体の時よりも膨らんだ乳房。
揉むっていうほどには頼りなくて、それでもきゅぅっと握ればちょっとだけ脂肪は集まって、くにくに潰すと、気持ちがいい。
安心する、女性の胸って、ほんとにすごい。
男にはこんなに柔らかい部分は無いし、これ、自分で揉んでも気持ち良かったりするのかな。
どう思う?、そう聞いてみてもおんなじように「知るか、バカ」と返されるだけ。心も少しくらい、女の子らしくなればいいのに。
思いながら、以前と色の変わらない乳首を口に含めば、薄い背中はびくんっとしなる。
 
「っん、あ!んん・・・!」
「どう、感じ方何か違う?」
「ばっ、か、聞くな、ばか!」
「つまんない、教えてよ」
 
ちゅぅっと吸いついて、前歯できりりと先端を噛む。
少し力を入れればその度にびくんと跳ねる身体。何がどうなってるのかわからないけど、お互い貴重な体験してるんじゃない?
男である身体と女性の身体、お互い同じ相手とセックスして。
折角だから、何がどう違うのか、あとで話し合おうよ。俺も、女性の身体の君の反応を覚えておくからさ。
感じる部分も、男の時とは違うのかな。
外してほっぽってあったテキサスを、伸びあがってベッドサイドのボードに置く。
少しだけ潤み始めた、緑の瞳。息の上がってきた彼の唇にキスを落として、そのまま深く、口づけて。
空いてる手でさっきみたいに乳首をぎゅっと捻ったら、口の中でくぐもった悲鳴が何度か上がった。
 
舌を絡ませながら、何度か角度を変えて、唾液を交換するようにキスをする。
胸を触っていた手はそのまま脇腹、臍、細い太腿。
ゆっくりゆっくり下りて行って、熱を与えるようにぺたりと密着させる。もともと体温の低いこの人は、最中でも結構身体は冷たくて、逆に体温の高い俺には有り難くて。
女性の方が基礎体温は高いっていうけど、どうなんだろう。
相変わらず体温の低い身体、覆いかぶさるように体位を変えて、足の間に、片足を入れる。
そんなつもりはなかったんだけど、膝頭がちょうど彼の大事な部分に触れてしまって、彼はびくんっと瞳を大きく開いて、どぉん!と俺を突き飛ばした。
 
「ちょっと、何?」
「や、やだ、やだっ!やっぱりイヤだ!!」
「ヤだじゃないだろ、別にする事は同じじゃないか、今更」
「な、なんでお前、お前、慣れてんだよ!おかしいだろ!!」
 
・・・いや、慣れてるっていうか、別に、男の君にも同じ事してただろ。
反応し過ぎて過敏になってるのは、君だけだぞ。
 
そう言って、起き上がった身体をよいせともう一度押し倒す。
首元まで真っ赤になったアーサー、まぁ、きっと違うんだろうなぁ、女性の身体と、いつもの君の身体とは。
なんだか感じやすくなってる気もするし、気のせいかもしれないけど。
 
内腿を撫でて、鎖骨に小さくキスを落とす。
自分と同じ色の陰毛を軽く弄って、少し足を開くように促したら、アーサーは震える声で呟いた。
 
「お、お前、お前、経験、あんのかよ」
「女性経験?そりゃ、君とこんな関係になるまでは」
「知ってんよ!じゃなくて、しょ、処女、抱いた事あんのかって聞いてんだよ!」
「ああ、ソーリィ。安心してよ、俺もそれはハツタイケン。初めは痛いみたいだけど、頑張ろうねアーサー」
 
笑って、さぁ、いいから足もう少し開いて、言えば、アーサーの顔は赤い顔から一変して真っ青になった。
あ。そういえば君って女性を抱いた事ないんだっけ?
女性を抱くより先に、女性として抱かれるなんて、ずいぶんとリアリティのないおかしな話だね、ハハハ、アーサー、君らしい。
悪いけど、俺はここで引くつもりはないぞ。
男であれ女であれ、俺はどんな君でも好きだし、どんな君も知ってたいんだ。
俺が一度言い出したら絶対きかないって事は知ってるだろ。大丈夫、二度言うけれども、優しくするよ。なるべくね。
さぁ、真っ白な身体を開いて、ミスター・ハニー。
それとも力づくで奪われるのがお好み?たまにはそんなプレイもアリかもね。
どんな妖精の悪戯かはわからないけど、君の空想に今回ばかりは感謝しよう。
 
 
「愛してるぞ、俺のレディ。どう?たまにはこんな俺」
 
 
笑って、再度白い手の甲に口づけを落としたら、今度こそ恋人は観念したように、頷いた。