Hello The pink police. 
 
 
 
 
 
 
「ハイこちらブルーポリス……もしもし?ピンク?」
『んー……ん、ぅ、』
「……イタズラ電話ならお断りだぞ」
『や、やだ、切んなよ』
 
アメリカ、という言葉を待たずに、俺はがちゃん!と受話器を置いた。
 
アメリカ大陸北、ユナイテッド・ステイツ、ニューヨーク州。
摩天楼聳えるマンハッタン。
狭い自分の部屋の中で、俺はがりがりと自分の金髪を掻き混ぜる。
一体何なんだ、あの人……。
今時アナログな電話機を見て、その後に、はぁっと息を吐いた。
 
普段は国としてあちこち上司達と飛びまわってる俺達は、たまに国民と同じ生活をしてみたりする。
仕事してみたり、学校に通ってみたり、家に住んでる人達と一緒になって暮らしてると、気付く事が案外多い。
現在、我らが正義の連合チームは、期間限定で警察官の仕事をしてる。
ヒーローにぴったりの仕事だろ?まぁ、そんなに出来る事は無いんだけど……実際の所。
場所はそれぞれの母国であったり、たまに皆で遠征したり。
自ら国名を名乗る訳にもいかないから、俺たちは最近、互いを色の名前で呼ぶ。
ちなみに俺はタイプ・ブルー。
本当はヒーローらしくレッドとかが良かったんだけど……そこは大人の余裕で我慢して、赤い色は仙人中国に譲ってあげた。
だって、彼の色って言ったら赤くらいしかイメージつかないだろ……。
他のメンバーの色?まぁそれは、追々。
 
先程、変な電話を掛けてきた俺の恋人のカラーは、赤みの強いショッキングピンク。
何でピンクになったのかって?それは、彼の頭の中を見て欲しい。
常にピンク全開なビッチな警官の恋人は今日も今日とて大ハッスルで、全く、あの人ってば本当に……
 
ぴるるるるるるるっ
 
……電話だ。非通知?ごめんよ、ちょっと失礼。
 
「ハロー。こちらブルーポリス……」
『何で電話切んだよ、バカァ!』
「……あのさ、わざわざ非通知にまでしてプライベートの携帯に掛けて来ないでよ」
『お前こそ、用件聞く前にガチャ切りすんな』
「どうせロクでもない用件だろ……。何だい」
『あのさ……しよう。アメリカ』
「……何を?」
『テレフォンセック』
 
ぴ。
 
通話終了ボタンを押すスピード、0.5秒。
最後の言葉を聞く事なく、俺は今度こそ会話を切って、その後に電話のコードを引っこ抜く。
アドレス。ぴっ。
ハロー。ブルーだけど、さっきから変な電話が続いてるから、しばらく電話切っておくから。
何かあったら、メールでお願い。うん。バイ。
そのまま携帯の電源も落として、はー、ともう一度、大きく息を吐いた。
 
コーヒー飲みたい……頭痛い。
何であんな人が俺の、元兄で、元親で、宗主国なんだ。ついでに、どうして俺は彼と恋愛してるんだ。
間違いなく愛してはいるんだけど、時々頭のネジのふっとんだ所には、やっぱり未だについていけない。
デスクに置きっぱなしの冷えたコーヒーを啜って、その後に棚にある財布を手に持つ。
コーヒーよりも、シェイク飲みたい。何か甘いもの……。
ガシャン、と座っていたパイプ椅子から立ち上がって、俺はデスクに置いてあるテンガロンハットを頭に被る。
これ?いいだろ。クールだろ。昔のガンマンみたいでさ……本当は制服だってあの時代のものに合わせたかったんだけど、
連合の皆にすごい勢いで止められたから。
ちゃり、と壁のキーホルダーにかかってるバイクのキーを外して、ベルトのバックルにつけてる
ウォレットチェーンにかちりと嵌める。
愛車はハーレーの白いスポーツスター。
シェイク買いに行くだけだし、財布だけでいいか……軽く鼻歌を歌いながら、皮の長財布を尻ポケットに入れて、
扉のノブに手を掛ける。
そうしたら、それが自動でくるっと廻って、その後にばたん!と勝手に開いた。
 
「ワォ。自動ドアになったのかと思った」
「ガチャ切りすんなって、言ってんだろぉ……!」
「……ちょっと、君、何でミニスカートなんだい。あと、そのピストル。何でゴムが……んぅ」
「んー……」
「……んむ、ちょっと、イギリス。待ってよ」
「やーだ」
 
開いた扉から現れたのは、ピンク色の顔をした、ミニスカート姿のピンクポリス……
ていうか、下にズボン履いてないだけ?
先ほどまでの電話の主である恋人のイギリスは、そのまま俺の両頬を包んで、
上唇を舐めた後に、目を瞑って唇を合わせてくる。
昼間っから、職場で、こんな格好でのディープキス。
金色の髪を引っ掴んで、キスの合間に「ストップ」と言って抗議したら、彼は露出した足で後ろの扉をばたんと閉めて、
ぷはっと唇を離して小さく笑った。
 
「似合ってんじゃねーか。制服」
「もう……一応職務中だぞ」
「だから、電話で我慢してやろうと思ってたのに……」
「何でお互い隣の部屋に居るのに、電話でセックスしなきゃならないんだよ」
「燃えねぇ?」
「燃えない……あと、俺これからシェイクを買いに行こうと」
「それこそ、後にしろよ」
 
彼はそのまま部屋の鍵をがちゃりとかけて、のっしと軽い身体で俺ごとデスクの上に乗り上げる。
腰に当たる彼の下半身は、もうしっかりばっちり、臨戦状態。
「ヘンタイ」。笑ってやったら、イギリスは「結構、好きなくせに」と、俺と同じように、緑色の瞳を細めて笑った。
 
この後一体どうなるかって?それは、各自御想像にお任せするよ。
予測不可能なこの人の思考回路は、俺だってまだよくわかっていないんだ。
あ。そうだ。ちょっと言っておかなきゃならない事があるから、少し待ってて。
 
ぴ、と電源を切ってある携帯電話のボタンを押して、その後「ハロー」と留守録を入れる。
 
ハロー。こちらブルーポリス。
ちょっとこれから一件取り調べに入らなければならないから、しばらくメールも返せそうにないや。
緊急の用事だったら、言付けを。
取調べの相手?君たちもよくご存知の、変態ピンクポリスだぞ。
世界平和の為にも、まずは彼を逮捕しないとね。
 
バイ、とそのままメッセージを入れて、携帯電話をほっぽリ投げて、緑色の瞳にキスをする。
ビッチでどうしようもない恋人であるピンクポリスは、嬉しそうに俺の透明なレンズを、かちゃりと外した。
 
 
 
 
 
 
 
 
Hello The pink police. 
 
ピンポリ祭りー!字書きでこっそり便乗……

Brioche a teteのmarieさんとコラボさせて頂きました!


marieさんのキュートでビッチなピンポリへは下のケーキからどうぞ!
(イラストに直接飛びます)




逮捕しちゃうぞ!



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