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「はっ、は、はぁ、あぁ、」 |
「・・・すごい、熱い。興奮してるの?相変わらずの変態だね」 |
「あ、っぅ、やだ、言うな、っひゃぁ、あああ!」 |
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ぐいっと腰骨を掴んで下から叩きつけると、アーサーは大きく体を跳ねさせた。 |
涙なんだか、汗なんだか、透明な液体がぱたぱた散る。 |
無意識のうちに半開きになった口から赤い舌が覗いていて、誘われているのかと思って口を塞いだ。 |
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体重を足で支えながら深さを調節してリズムを取る彼を支えながら、ふ、ふ、と呼吸を上げる。 |
結合部には、白いショーツ。 |
折角だから脱がさないでやろう、と言った時の彼の顔といったら。泣きそうな顔をしていながらも少し嬉しそうだった。 |
全く、本当に恐れ入る、この人のアブノーマルな趣味といったら! |
伸縮性のある薄い素材を横に押し広げて、ぬぅっと性器を埋めた時、彼は珍しくそこの部分をじいっと凝視していた。 |
目の下を赤く腫らして、あ、あ、と泣きながら、背筋をぞくぞくいわせて。 |
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ちゅぷ、ちゅぷと音がするのは、先ほど自慰の際に彼が使っていたローション。 |
どれだけ大量に入れたのか、少し動かすだけで卑猥な音を立てるそこに、ますます笑いが漏れた。 |
本当に、こういうことが好きだったのか。この変態。 |
別に、言ってくれてもいいのに。引くどころか、益々愛しい。 |
快楽を耳で拾うタイプのアーサーは、こうした音には大層弱い。あと、言葉攻め。マゾヒストなんじゃないだろうか。 |
彼の好きな声で足開いてくれよと囁けば、彼はびくりと喉を鳴らして内腿を晒す。 |
白いショーツを履いた、日に焼けていない白い内腿がなんだかひどく倒錯的に見えた。 |
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「結構、かわいいぞ、アーサー。写真に取ってあげようか」 |
「や、やだ、やめろ、言うな」 |
「好きなくせに!ねぇ、折角だから8mmを廻してあげるよ。ええと、どこにあったかな」 |
「やだぁ!ふざけん、な、あ、あッ!」 |
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広げた膝の下に手を入れて、マットレスから足を浮かせて痩せた体をゆさゆさと揺さぶる。 |
スプリングの反動を利用して下から突上げたら、アーサーはきゃぁっと女の子みたいな声を上げて首にしがみついてきた。 |
廻された肩に、背中に、ぎりっと爪が立てられる。 |
こんな痛みですら愛しいと感じる俺も、もしかしたらアレなのかも。 |
愛しい人につけられる痛みなら、傷ならば、それすら愛する事が出来そうだ。 |
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浮いた体を自分の意思じゃどうとでも出来ず、アーサーは金髪をぱさぱさ揺らして、アル、アル、と俺の名前を呼ぶ。 |
可愛くて、高い嬌声。これが、かつて世界の4分の1を支配下に置いた帝国の姿だろうか。 |
どんな顔して喘いでいるのか興味が湧いて、座位で突き上げていた彼をベッドに押し倒す。 |
一度自身を引き抜いて、間髪入れずに根元まで突っ込んだら、彼は喉を絞って悲鳴を上げた。アル。アルぅ。 |
ちょっと、声が大きいよ、アーサー。 |
いくらこの家には彼しか居ないと言ったって、まだ爽やかな午後の昼下がりだ。 |
近くを散歩している民間人に聞こえたりしたら、恥ずかしいのは君じゃないのかい。 |
顔なんて涙でぐちゃぐちゃで、意地悪く指摘してやったら、彼はいやだと泣いて顔を覆った。 |
がんがんとスピードを緩める事なく、両足を抱えて中を引っ掻きまわしたら彼は泣きながら、引きつったように体を振るわせる。 |
伸縮性のあるシルクのショーツのおかげで彼の可愛い性器は見えないけど。 |
行為に慣れてしまってるこの柔らかい場所と、派手に音を立てるローションのおかげで、 |
何だか久々に女の子としてる気分だよ、アーサー。 |
つんと尖ってる、アングロサクソン特有のピンク色の胸の突起を二つ一気に抓り上げたら、 |
彼は声を上げずに目を見開いて、あっけなく白い精を吐いた。 |
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「・・・ん、はぁ、はぁ、あ、や、やだぁ、アルフレッド」 |
「やだじゃないぞ、俺はまだなんだから、へばらないでくれよ」 |
「や、ちょっと・・・休ませろ、あ、あ、」 |
「嫌だよ、ねぇ、さっきみたいに可愛く鳴いてくれよ」 |
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達したばかりのアーサーにはお構いなしで、べろっと顔を舐めると同じ体位のまま細い体を揺さぶる。 |
一度精を吐いた彼の体はだらしなく緩暖していて、くにゃりと力の抜けた足は難なくくの字に折れ曲る。 |
くるしい、と力なく怒鳴る彼の言葉を軽くスルーして、でんぐり返しのように腰を真上に上げたら、 |
ショーツを寄せて突っ込んでる結合部が丸見えになった。ああ、もう。やらっしいったりゃありゃしない。 |
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「すごい、すごいよ、アーサー。君、ここ見た事ある?泡立ってる。やらしい。やっぱりメモリーに残したい」 |
はっ、はっ、と息を弾ませて、腰を叩きつけながら言うと、アーサーは顔を真っ赤にしてかぶりを振った。 |
「やっ、だ、言うな、ばかぁ、変態」 |
「変態は君だろ!こんな女物の下着履いて、こんな事言われてもまた勃たせてる」 |
べとべとになったショーツから性器を取り出せば、出したばっかだってのにまた緩く緩く勃ちあがってきてる。 |
彼の放ったものでぬるぬると片手で扱いたら、アーサーは仕掛けのある人形みたいに大きく体を跳ねさせた。 |
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「ぅや、ぁ、アル、アル」 |
「どこがいいのさ、前?後ろ?両方がいいなら、自分で弄ってよ」 |
小さな手を自分の性器に握らせて、上から一緒に扱き上げる。 |
いやだぁ、と泣きながら手を動かす彼は、本当に何処までもアブノーマルで、最高に可愛らしい。 |
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愛しいアーサー。俺にしてみれば、過去の事なんて全く関係ないし、元兄と体を重ねてるという事実だって、全く気にならない。 |
というよりも、元々兄弟だの親子だの、そんな意識なんて全く無いんだ。全く、全然、関係ない。 |
彼は俺の大事な人で、可愛い恋人。それだけでいい筈なのに、一体この人はいつになったらこの囲いを取ってくれるんだろう。 |
背徳感てやつが君にとって快感を煽らせる材料になるのであれば、それはそれで構わないんだけどさ。 |
薄い腰の下にクッションを入れて高さを合わせて、細い体を付き荒らしながら、耳元で愛してるよと囁けば、 |
嬌声と混じった高い声で、オレも、と返された。 |
ああ、本当に愛しいね君って人は! |
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太腿を掴んで、肩に担ぎ上げて、そろそろ自分の為に腰を振る。 |
体を抱きしめたいのか、ゆらゆらと宙をさ迷う左手をきゅぅっと握ってやったら、彼は安心したように目を閉じて |
アルフレッド、と俺の名前を呼んだ。 |
名前を返す。アーサー、アーサー。 |
最後の瞬間は、目が眩むほどに気持ちが良かった。 |
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※ |
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「今年のバースデー?いいものをもらったよ。実に素敵なプレゼント」 |
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ワシントンの家に帰ったら珍しくマシューが遊びに来ていて、部屋に入るなりオメデトウとクラッカーが鳴らされて、 |
予想してなかったサプライズに結構俺は驚いた。 |
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「・・・・バースデーは三日前だぞ」 |
「当日に来たんだけど、居なかったじゃないか。またアーサーさんの所? |
自分の誕生日に会議抜けて会いにいくなんて、相当だよね、アル」 |
「放っといてくれよ。来てくれるかもしれないなんて期待を抱きながら過ごすよりも、自分で行った方が確実だろ」 |
ジャケットを脱ぎながらぷーと頬を膨らます俺に、合理的だねとマシューは笑った。 |
「何か、いい物でも貰ったの?いつもより嬉しそう」 |
自分によく似た顔をした兄弟のキスを受けながら、俺は言う。素敵なプレゼントを貰ったと。 |
いつもより嬉しそう?そうかな、顔が笑ってる?尋ねてみたら無言の笑みで返された。 |
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ポッケの中には、あの後内緒で失敬してきたテーブルの上のバースデーカード。 |
目を覚ますのと同時にテーブルのレターセットを全部ゴミ箱に突っ込んでた彼の事だから、きっとコレも捨ててしまおうと |
していたに違いない。先に隠しておいてよかった、とカードをにぎにぎしながらこっそり笑った。 |
あのシルクのショーツに関しては、あの後は聞いていない。どうせ聞いても、予想通りの返事しか返ってこないだろうと思ったから。 |
顔を真っ赤にして、ばぁかと言いながら不機嫌になってしまう彼を眺めるのも、それはそれで大好きなんだけどね。 |
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もうひとつ、内緒でもらってきたポッケの中身を出しながら、俺は小さく笑った。 |
「何笑ってるの?俺にも見せてよ」 |
「だーめ。コレは見せてやらないぞ。史上最強に、いいものなんだから」 |
「けち」 |
「けちとは何だい、けちとは」 |
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ポケットの中から取り出すのは、小さく手のひらに収まるシルバーのメモリーカード。 |
最中に完全にトんじゃった彼のメモリーを残してたなんて知られたら、怒るかなぁ。怒るだろうなぁ。 |
でもいつか、ああ、そうだ、来年の俺のバースデーに白状して、それで見せてやろうかな。 |
去年のバースデーではこんな格好で喜ばせてくれたよねって。 |
あ、それ面白い。すっごい予想つくけど、きっと予想通りな反応をしてくれるに違いない。 |
ねぇマシュー、来年の事を思い浮かべたら常に愛しい人が傍にいるって思えるなんて、確かに俺も相当だよね。 |
そう言ってメモリーカードと、丁寧に編まれたイニシャル入りのレースのハンカチを再度胸ポケットに仕舞ったら、 |
マシューはゴチソウサマと言って両手を上げた。 |
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「3日遅れだけど、ハッピーバースデイ、アルフレッド。君が生まれてきてくれて嬉しいよ」 |
「サンクス、マシュー。そういえば、何か食べる物はないかな・・・アーサーのご飯はやっぱり流石に胃が受け付けなくて。 |
それでもちゃんと完食はしたけどさ」 |
「あるよ、残り物だけど。君は居なかったけどパーティはしたからね」 |
「主役抜きで?どんだけなんだい、君って」 |
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呆れて言ったら、マシューはそりゃ君の兄弟だからさ、と言って笑って、ダイニングへ続く扉を開けた。 |
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