「どうだい?ねぇ、これ」
「んん、あ、やだ・・・・・・」
「やだ?じゃぁコレはNGだね。こっちはどうかな」
ちゅぷ、と音を出してピンク色のローターを引き抜いたら、恋人はひゃっと高い声を出して、体をびくりと揺すった。
音を出したのはわざとじゃないぞ。ちょっとローション、入れすぎたかなぁ。
てらてら光りながら振動を続けるピンク色のおもちゃのスイッチを切って、ぽいと捨ててから次のオモチャを手に取る。
なんだかごつごつしてるけど、コレって入れたときに何か関係があるんだろうか。
どうでもいいけど、こういうものってどうしてこうショッキングでビビットな色のものが多いんだろう。
分かりやすくて派手でいいんだけど、女性はこういう分かりやすいものは好きじゃないんではないだろうか。
アーサーに意見を求めてみたけど、かぁぁと顔を赤くするばかりで何も言ってくれない。
どちらにしても、こんなエロい男に女性の意見を求めても無駄か。
四つん這いにさせたアーサーの丸い尻を軽く撫でてから、右手に持ったパステルカラーのバイブを窄みに当てる。
少し色素沈着してるやらしいそこは、少し力を入れただけでぬぅっと先っぽを飲み込んだ。
先が少し入るだけで、彼の体は大げさにびくぅっと跳ねる。内股は緊張して震えだして、細い肩はくたっとベッドに沈み込んだ。
いつも自分が突っ込んでる所だけど、改めてこうして見ると、ずいぶんと狭そうだなぁ。
自分のものよりは細そうな感じではるけど、ピンク色のでこぼこしたディルドゥは飲み込むのが大変そうだ。
スイッチは押さずに、とりあえず全部入れようと思ってぐっと突っ込んだら、
案外ローションの力を借りて半分くらいはスムーズに入った。
「ぅあ、あ!アル、やだ、かたい、冷たい・・・・・ッ!」
「硬い?うそだろ、シリコンだぞ、コレ」
「やだぁ、硬い・・・!」
ピローに頭を埋めて泣くアーサーに構わず、少しずつ出したり引いたり、小刻みに動かしながら、ゆっくりゆっくり入れていく。
入れる時よりも出す時の方が感じるらしいアーサーは、ずるっと抜く時は一際大きな声で鳴く。
いやだ、やだぁ、これやだ、と何度も頭を振りながら。
これもダメ?何だ、検証にならないじゃないか。
ずぶずぶ根本まで突っ込んで、本当にイヤなのかと耳元で聞いてみる。
イヤなのは硬さなのか、大きさなのか、それともこのでこぼこなのか。一応菊にデータを送ると伝えてしまったから
解析くらいはしてあげなくちゃじゃないか。
形のいい耳に舌を突っ込んでバイブを揺すったら、アーサーは高い声を出して背中をぴいんと張り詰めさせた。
「ねぇ、何処がよくないんだい。教えてよ」
「ん、あ、う、動かすな・・・っ!」
「ダメだぞ、ちゃんと教えてくれよ」
スイッチは入れずに、案外長めにできてるそれを前後に動かす。ぐちゅぐちゅと派手になる音に、
アーサーは再度いやだと頭を振った。
ぱさぱさ、乾いた髪がピローに散る。
目元を隠すアイマスクが取れるから、あんまり動かさないでほしいんだけど。
視界を塞いだ方が敏感になるかと思って無理やりつけた、結構きつめのアイマスク。
自分で取ってしまわないように、腕はタイで後ろ手にぐるぐる縛ってやった。
自由になる両足をぱたぱたさせて、彼は小さく抵抗する。でも上がる嬌声はいつもよりも甘いから、
きっとイヤなだけじゃないに決まってる。
音を立てながら耳を舐めて、出し入れするバイブのスピードを速めてやる。
やめろと泣くアーサーは、何とこういったオモチャを使うのは初めてだそうだ。
勿論俺も初めてだけど、すごくすごく意外だった。
こういう、セックス関係で彼に初めてがあったのかと思うと、なんだか少しだけ嬉しかった。
「スイッチ、入れてもいいかな」
「っ!や、やだ、やめろ!ん、む、んんんんー・・・・・・・・!」
アイマスクで隠れた目元にキスを落として、顔を引き寄せてから少し厚めの唇を塞ぐ。
そうして右手に掴んでいるバイブレーターのスイッチを探して、手探りでダイヤルを回したら
右手に何だかすごい振動が伝わった。
「ッあ!ヒ、あ、あぁぁぁあああぁぁあああ!」
ビク、とアーサーの体全部が跳ねて、合わせていた唇が離れる。
右手に持ったパステルカラーのそれを見てみれば、ブブブという振動と共に、根本から何だか変な動きをしている。
どんな動きをしているのか興味が湧いて、ずるっと軽く引きだしてみたら、どういう仕組みになっているのか
ぐるぐると不規則な動きで回っていた。
暴れだしそうなアーサーの肩を左手で押しつけて、再度ずずっとバイブを奥に突っ込む。
ぐるぐると回る先端が前立腺を引っ掻くのか、彼は喉を振り絞って高く泣いた。
「ヤだ、イヤだぁ!やだっあ、ああぁああ!」
「ヤじゃないだろ、アーサー、なんかすごく良さそうだぞ!俺はこんな動きしてあげられないからね」
「ひゃ、やだっ、あ、そこ、やだぁ・・・!」
うぃんうぃんと機械的なモーター音が、なんだか酷く背徳的に感じる。
セックスってのは人間同士の繋がりである筈で、こんな機械音が入ってくることなんかない筈なのに。
普段は自分が突っ込んで揺さぶって、恋人はそれで初めて乱れる筈なのに、今彼が感じているのは
自分のものではなくて。何だか卑猥な色とでこぼこした形を持った、いかがわしいおもちゃ。
四つん這いで、開きっぱなしの口から涎を垂らしながらこんな機械に乱されてる恋人を見て、何だか笑い出しそうになった。
だって、イヤだって言ってるわりに、君のそこってもうびんびんじゃないか。
人間ではなかなか出来ない動きをする機械もやはりそこは万能ではないのか、いつもみたいに
いい所をずっと刺激してくれる訳ではないらしい。
は、は、と時に焦れったそうに腰を捩るアーサーの尻を叩くと、彼はひゃぁ、と声をあげて体を捩った。
「ねぇ、目隠し取ってあげようか?すごいんだぞ、今、君。四つん這いで、後ろにおもちゃ突っ込まれて、
 前びんびんに張りつめさせて。どう?これでイけそう?」
ぶんぶんとなるオモチャのスイッチのダイヤルを弱から強にして、きゅうぅっと色の薄い乳首を捻り上げた。
ぐぐぐっとバイブを更に奥まで突っ込むと、アーサーは身も世もなく頭を振り乱す。
アル、アル、アルぅ!声を振り絞って、後ろに縛られてる両手をぎちぎち言わせて。
ああ、すごい、なるほど、こういうオモチャって女の子の為にあるわけじゃなくって、男の為にあるものなんだな、きっと。
目元を隠してるアイマスクをべりっと外したら、涙で目を腫らした、情欲に濡れた緑色が出てきた。
テキサスを外して唇を合わせて、貪るように深く口づける。
その間も突っ込んだバイブを前後に動かしながら、反対の手で彼のものを扱きあげてやったら、
口の中で何度もくぐもった声が上がった。
マウストゥマウスで呼吸してるみたいだ。鼻で息をする事も忘れて、少し酸欠になってくらくらした。
俺の恋人というのは、こんな状態でもキスは滅茶苦茶上手くって、本当にエロエロだなと心から思う。
唇を外して、アーサー、と耳元で囁いたら、恋人は上ずった声をあげて体をびくびくと震わせた。
ああ、イきたいのかな。つま先がきゅぅっと丸くなってる。
ぐちゅぐちゅなるローションの音、規則的に鳴るモーター音。
色んな音にまみれて、アーサーは呂律の回らない舌で俺の名前を呼ぶ。
アイマスクのゴムの跡のついた、赤く腫れた目元、こめかみまで流れてる透明な涙。
うつぶせになってる体が苦しそうだったから仰向けにひっくり返して足を広げたら、ねばっこい透明な糸が内腿を流れた。
「い、イきたい、いきたい、アルフレッド」
「いいよ、出して。見ててあげるからさ」
「やっ、だ、コレじゃ、やだ、イけない・・・!」
ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、アーサーはぶるぶると頭を振る。
ぶんぶんと尻の間から見える卑猥なオモチャは、ずいぶんと気持ちが良さそうだけど。
彼の所のポルノみたいに、ここで聞いてやるのはお約束なんだろう、「どうして欲しい?」笑って聞いてやれば、
アーサーはかかーっとこれ以上ないくらいまで顔を赤くして泣きながらばかぁ、と叫んだ。
「ちょっと、手を解いてあげるからさ。コレで一人でしてみせてよ、ダーリン」
「や、やだ、やだ、やだぁ、アル・・・ッ!」
「愛してるよ、アーサー」
ちゅぅぅっとキスをしてから、後ろのタイをするると解く。そんなにきつくは縛ってないから、手ぐらい動かせるだろ。
ほら、と左手を突っ込んでるバイブに、右手を前にあるものに添えさせると、アーサーはぼろぼろ泣きながら嫌だと首を振った。
そりゃ、俺だって突っ込みたくない訳ではないんだけどさ。以前から、君の大好きな擬似セックスには興味があったんだ。
どうやって一人でしてるのか、どういう風に手を動かすのか。
いつも俺に爪を立てるその腕は、一人の時は何を掴んでいるのか。
それに、君って一回出した後の方が具合がいいんだよね。あはははは。内緒だけど。
「ほら、出来るだろ?いつもしてるって言ってたじゃないか、見せてくれよ」
「ッあ、こ、こんなの、使ったことない・・・っ!」
「じゃぁ余計いいじゃないか。ハツタイケン。君の大好きな菊も使ったやつかも知れないぞ」
くすくす。冗談みたいに笑って言ったら、涙に濡れた緑色の目が大きく開いて、
前で張り詰めていたものがびんっと大きく仰け反った。
大きく足を開いて、後ろにピンク色のバイブを飲み込みながら、息を乱して前の性器を弄りだす様は、
ぞくぞくする程滑稽だ。変態。
もともと息子で弟みたいだった俺と寝ておきながら、片思いの男の名前を出されてまだ感じてる。
ねぇ、君ってあの島国を抱きたいの?抱かれたいの?それともこうやって妄想してるだけで満足なのかな。
切なそうに金色の眉毛を寄せて、エメラルドの瞳をとろんとさせて。リズミカルに動く右手は流石に慣れてるなぁと素直に感心した。
はぁはぁと上がっていく息、口から見え隠れする赤い舌、硬直する腹筋。そろそろ限界なんじゃないだろうか。
そういえばイく時って、彼はどっちの顔を思い浮かべるんだろう。
多少無理やりではあるけども、現恋人の座に居座ってる俺か、それとも報われぬ片思いの相手か。
アーサーの手の動きが速くなる。ぶんぶんと部屋に響くバイブレーターのモーター音。女の子としてる時みたいな、濡れた水音。
きゅぅっと丸くなるつま先と、ぐっと仰け反った白い喉、やだ、いく、とアーサーの泣き声が聞こえたと同時に、
俺は彼の中に居座ってたパステルカラーのオモチャを勢いよく引っこ抜いた。
「ッ!!や、何・・・!」
「訂正するよ、やっぱりいく時は、俺のでイって」
「っあ、ちょ、ちょっと待て、アル・・・・・・・・・・ッ!」
ローションでどろどろになったおもちゃをベッドに投げ捨てて、
デニムを寛げてから足を目いっぱい広げさせて、狭い中に無理やり押し入った。
やっぱりあのオモチャ、俺のより少し細めだったのか、あんまり開ききってないアーサーの中はだいぶ狭い。
締め付けられる痛さに萎える前にがつがつと仙骨を壊す勢いで突きあげたら、
アーサーは悲鳴を上げて背中にしがみついてきた。
「ッヒ、あ!ぁぁああああ、やだぁ!アル、アル、壊れる・・・・・・・・・・・!」
「アーサー!アーサー・・・・!」
「やっやだ、やだやだやだ、そこ、やだいく・・・・・・・・っ!アルぅ!」
全身を硬直させて、アーサーはぱさぱさの金髪を振り乱して背中に爪を立てた。
俺もまだ突っ込んだばかりだっていうのに、オモチャで遊んでいた彼にあてられたのか、その後何回か突き上げた後
追いかけるように逐情した。
ばむす。
「・・・ちょっと、何するんだい」
「ぅるせえ、変態、最悪」
「君だけには変態って言われたくない」
ばす、ぼす、と手近にあるクッションを投げつけながら、恋人は枯れた声で睨みつけてくる。
あの後は結局持っていたおもちゃは投げ捨てて、お互い裸になって汗だくで愛し合ってしまった。
残ってるオモチャはまだまだ沢山あるのだけど、こういうものってのは結局最後までコレで致すためのものではなく
気分を盛り上げる為の一つの小道具なんじゃないだろうか。
あ。でも一人の時は重宝するのか?結局、アーサーにもどれが一番良かったかなんて聞いてない。
アーサーもへろへろだろうけど、俺も結構ふらふらだ。
大人しくクッションに叩かれながらテキサスを外して、そういえばと気になる事を尋ねてみようと思った。
「ちょっとアーサー、教えてほしい事があるんだけど」
「な、なんだよ、オレはやっぱり、こんなオモチャなんかより」
「ああ、俺のがいい?サンクス。でもそんな事じゃなくて」
「な、流すなよ!!しっしかも、別に、お前がいいとか、そういうことじゃ」
ぽこぽこぽこっと湯気を出す彼を胸に抱いて、ぽむぽむと背中を叩く。
少しだけ湿った細い背中は、世界標準よりも大きめの俺の胸の中にすっぽり入って、心地がいい。
赤く染まってる目もとと、こめかみにちゅぅっとキスをして、俺はグリーンの目を見ながら聞いてみた。
「君さ、普段一人でマスターベーションする時って」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「俺と菊、どっちの顔を思い浮かべてるんだい」
気になってたんだ。訂正、さっきふと思って気になった。俺は彼と寝るようになってからはとーんとそんな一人遊びはしないけど、
以前彼はそれとこれは全く別だと酔っぱらった時に話していたから。
俺は、以前はもちろんアーサーで抜いてたけど、どうなんだい。そう言ってぐぐっと詰め寄ったら、
アーサーは湿った手のひらでばっちん!と俺の胸板を叩いた。
アウチと叫んで、飛び上がって、俺は顔の赤い恋人に怒鳴る。
「いったい!!何するんだよ、アーサー!」
「知らねぇ!お前がバカな事聞くからだろ、バカ!」
「気になるだろ!君の好きな奴は菊だし、俺は君が好きなんだぞ!」
ひりひり、痛む胸を擦りながらアーサーに詰め寄って頬を膨らませたら、
彼は「な、な、」と更に顔から湯気を出してあわあわとうろたえ始めてしまった。
元弟という立場を利用して、無理やり口説いておさまってるこの恋人という位置は、
俺に取ってはいまいちふらふら安定しない状況であって。
実は誰よりも加護欲の強いアーサーにとって、あの小さな島国はまさしく好みのストライクゾーンだという事はわかってる。
友人として付き合ってるあの島国は、全くいつまでたっても俺にとって気の抜けない、厄介な国だ。
この俺が、やきもちだなんて。ちゃんちゃら可笑しい、しかも菊に。
あるわけないと思っていたのに、最近の自分の行動を見てるとどうやらそうも言ってられないらしい。
どうなんだよ、アーサー。細い肩をがっしと掴んでぐぐぐと顔を寄せれば、
近ぇ!と怒鳴られて、ぺっちんと顔を叩かれた。
その後、恋人はぷしゅーと顔から湯気を出して、クッションを投げて、枯れた声で怒鳴る。
「お、おっ、お前に決まってんだろっ、ばかぁ!!」
きぃん、裏返った声で叫ぶと、アーサーは寝る!とまた怒鳴って布団に潜ってしまった。
その後、思いもよらないハッピーな言葉に嬉しくなって、毛布に包まったアーサーに
俺がもう1ラウンド願い出たと言う事は、言うまでも無い。次は、オモチャなんて使わずに俺だけでね。
ついでに、仕方ねぇな、と少し嬉しそうに首に手を廻してきた恋人も。予想通りだろう?
ああ、そうそう、データの解析。送っておいたよ、菊に。
どんなオモチャでもいいけど、取り合えず愛に敵うものなんてのは無さそうだから、
君も早く二次元の世界から出てきて、汗だくで愛し合ってみる事を勧めるよと。
俺の大好きな恋人が君のお尻を狙う前に、さっさと恋人を作ってくれよ。
俺の心の平穏の為にもね!
そうメールで送信したら、その夜「何なんですか貴方は嫌味のつもりですかどうせ私はオタクな二次元の人間ですよ」と
わぁわぁ泣きながら電話がかかってきた。